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話は保健医の藤原先生に移っていく。
「あの先生も色っぽいでなぁ。」
「知ってる。俺、電話してンの見て惚れてしまいそやねん。」
「そうそう、ガタイええのに仕草が‥‥たまらんよな。」
何人かは、ショックやぁ‥ッて、叫んでいた。
この間の電話の件や、
泣き腫らした目を見たとか、
バス停で夜恋人を待ってたとか、
夕焼けを男同士で雰囲気良く眺めてたとか、
兎に角、噂が飛び交っていた。
俺に先生はどうやねんッて、聞いてくるがこればかりは迂闊に話する訳にいかず、
「義行が待ってるから‥‥」
と、早々に部室を後にはした。
まさかの先生の人気に驚く。皆がそれほどの関心を持って先生を見ていたとは、思いもしなかった。
それだけ俺は、義行しか見ていなかったのだろう。
急いでグランドを過ると、校門で義行が大きく手を振り待っていた。
走って駆け寄ると、俺の方に走ってきて、
「走ったらアカンッて、‥倒れたンやろ。‥
ゆっくりでかまへんから‥‥」
そう言って俺の肩から鞄を取って持ってくれる。
「自分で持てるし‥‥」
口を尖らせて文句をゆうと、義行の顔が近づいてくる。
困った様に笑い、思いっきりホッペを引っ張ってやる。
「ひっ‥‥痛い‥」
「何を考えてンねんや!」
「ン?徳一の事‥」
紅くなった頬を擦りながら、悪びれずにゆう。
「いっぱい人が居るやろ!」
「ン?居らんかったらええねんや。」
「///‥ちゃっ、ちゃうし‥‥」
思いっきり義行に笑われていると、
「ごめん、遅くなって‥‥」
先生がバタバタと駆け寄ってくる。
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