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ケーキ屋さんでプリンを真剣に選ぶ先生が、場違いで可笑しかった。
笑ったらアカンのやろうけど、大きな身体を少し屈めて眉根を寄せているさまは、まるで大型犬を思わせた。
何種類もある中から選ぶのだから無理もないのだろう。
そうゆう俺も‥‥
「義行、一個だけなん?‥‥二つはアカン?」
振り返って頸を傾げると、
「クスッ‥、ええょ。二つな。‥‥僕の分も選んでや。」
なんか子供を見る目で笑われた。
そんな事も気にせず、嬉しくて目を真ん丸にして笑ってしまう。
「ほなっ、4つ選んでええの?」
「うん。」
悩みに悩んで‥‥
「あの‥ミルフィーユとふわとろプリン、‥このフルーツの一杯のと、‥‥こっちのチョコのやつ。」
注文すると、
「徳一‥‥いつもとおんなじのやんか。ホンマにプリン、好っきやな。」と、笑う。
「ン?ええやろ。プリン美味いやん‥‥悪いけど、オヤジも昔は好きやったンやで。よぉ、買ってくれた。
けど、お母さんと一緒になってから食べへん様になってン‥」
「せやな、やっぱプリンはお子ちゃまなんやで。」と、揶揄われた。
「そんな事無いよな、先生?」
声をかけると、先生は余りの種類の多さに何にしたらええか分からずパニクっていた。
見るに見かねて、
「先生?‥決まったン?」
「えっ?‥いや、まだ。‥‥俺甘いの苦手やからよぉわからんねん。どのプリンがオススメなんや?‥」
眉をハの字に下げて困った顔の先生が訊ねる。
「俺のオススメ?‥ 」
「うん。どうせやったら美味いのがええやろ?」
「う~ん、せやな。俺はこのふわとろのと、ココアのが好きやけど‥‥
チョコと違ってココア!ッて、感じがええねん。」
「じゃぁ、それ二つづつ。」と注文した。
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