季節外れの‥‥2

7/13

44人が本棚に入れています
本棚に追加
/343ページ
…確かにソウや 俯いたままでビールを飲む事も出来なかった。 …あの時、アイツは誰でもない俺に相談して  きたのに…  ちゃんと向き合ってやれたンやろか?… 先輩は、お持ち帰り用に唐揚げと焼き鳥を注文してから更に続ける。 …恥をかいても、嫌な事があっても、逃げ  出さんと自分で決めな。お前はお前自身  からは逃げられヘンねんから。これからも  ずっとお前自身を生きて行くンやろ。  目に映るものだけが全て真実やない。  見えへンものの方が真実の時もある。  どっちを信じるかはお前自身や。    ソレにその時はソレが最善策やったンやろ?  なら、はよ一人前になって、立派になっ  たソイツに逢いに行けばええやン。 …《一時的な気の迷いや》《直ぐに忘れる  よ》ってゆうてしもた。 …後悔してるんや? 少し考えてから俺は、 …ちょっと違うンや、後悔やない。先輩の  話聞いてたら、アイツの方が大人やったん  かなぁって。いつも、目に見えへンもん  の方を信じてくれてたから‥ そう言って笑うと、 …ほなら、お前の一番の理解者やったンや  きっと今も‥ …そうかもしれへん。いや、そうやと嬉し  いですわ。 「ナンや~ノロケ話に聞こえますけど~」と、 笑われた。 店員が持ち帰り用の袋を提げ持ってくる。ソレを合図にお開きになる。 「相変わらず唐揚げと焼き鳥すきやね。の  り君は元気ですか。」 「元気やでぇ、また遊んたげて。のり君サ  ッカー教えて欲しいンやって。」 「ええですよ。今度の休みにでもいいっす  よ。じゃご馳走様です。」 あの頃からきっと先輩は変わらへんのやろうね。生きてたら今でも、のり君だけを護ってるンやろな。 のり君は、一人前になるまで俺が責任持って見守ってるから先輩は心配せんとってな。
/343ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加