季節外れの‥‥15

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揺すらない様に大事に持って帰ったプリンを冷蔵庫にしまう。 取り敢えず、窓を開けて換気をして掃除に取り掛かる。 それから、夕飯の買い出しに出掛ける。自転車に乗って暗くなり始めた町並みを急ぐ。 途中、何人かの生徒とスレ違う。 ‥ホンマや、案外生徒と会うンや。 つくづく周りを見ていなかった事に気づかされる。 スーパーで食材を買い込んで自転車に積んでいると、不意に後ろから声をかけられる。 「先生~!えらい買い込んで主夫やんか。」 振り返ると、家庭科部の生徒。 「ン?まぁ、色々な‥どしたん、お使いか?」 「嫌やわ。子供みたいにゆわんとって。」 と、ケラケラ笑う。 「晩ごはん何なん?」 「あぁ、蓮根のはさみ揚げしよかなって。」 「ええね。‥それでどうケーキ上手に焼けた?」 「あー!あれなぁ、ムッチャ甘かったで。」 「そうやろな、甘いレシピ渡したもん。」 何故か得意気に笑う。 「わざとか。何で?」 「先生あげたン?」 「うん。‥甘ッて、ゆわれた。‥」 「で‥‥」 「ン‥丁度ええッて、旨いって‥‥全部食べてくれた。」 意味あり気に、ンフフ‥と笑い、 「先生~愛されてんな。初めて作ったケーキ褒めてもろて。‥相手の人も優しいな。」 「‥はぁ~?」 「ええッて、隠さんでも。私は理解ある方やから。先生の相手ッて、彼氏やろ?」 目が点になる。 ‥何で判るねん。まさか、見られてたんか? 「そんな恐い顔せんでもええやん。先生見てたら判るって。 女の人と恋愛してる感じとちゃうもん。‥」 「女の勘か?」 茶化す様にゆうと、 「せやね。‥泣き方がちゃうねん。 けど‥ええ人みたいやん。先生を受け入れてくれる感じで‥、今度はちゃんとしたの教えてあげるな。 バレンタインデーに間に合う様に‥‥ 多分、次はもっと褒めてもらえるで。」 そうゆうて、ケラケラ笑う。 「なんやねん。‥何か相手試したみたいやん‥‥」 「ちゃうちゃう。駆け引きや。次、上手に焼けたら、俺の為に努力してくれたんやッて、感動してくれるで。 やから次は、ホイップクリームも足したらええ。 絶対に上手くいくから。 じゃぁ、先生また明日。」 「あぁ、気ィ付けて帰れよ。」 慌ただしく店に入って行く。 ‥何か女の子は、強かやなぁ。駆け引きッて、そんなん考えた事もなかった‥‥‥
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