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部屋に戻り、簡単にはさみ揚げの下ごしらえをする。付け合わせの野菜、小鉢、味噌汁の具材をこしらえて冷蔵庫にしまう。
風呂を準備して、一足早く湯に浸かる。
‥なんや今日は慌ただしい一日やな。
つい癖で、今日一日を振り返る。
‥徳一でさえ、いつも傍に居る義行を疑ってしまうンや。じゃぁ、しゃぁないよな。俺がウジウジ悩んでても‥‥
そう思いながら胸のリングを指で手繰る。
TAKAFUMIの文字をなぞり、半分癖になっている一人言を呟く。
「貴史、俺なホンマに嬉しいンや‥‥逢いたいって言葉だけで、電話してきてくれるだけで、‥‥俺、‥幸せ過ぎて、涙出てくんねん。」
‥なぁ、ホンマはな、
抱き締めてもらえんでも、
キスしてもらえんでも、
ええねんで‥‥‥
自分自身をきつく抱き締めるように組んだ腕に力を込める。
ただそれだけで、アイツの息遣いや温もりをが甦る。
‥俺は、貴史のもンやし。
俺の心の中にはいつもお前が居るから‥‥
そう思うといつも強くなれる。
不意に携帯が鳴る。
直ぐに出れるようにと着替えと一緒に置いてある。
身体も拭かずに慌てて電話に出る。
「はい‥」
「アッ、一裕?今、電話大丈夫か?」
「あぁ、どうしたン?」
約束がアカンようになったンかも‥‥と思うと声が震える。
「‥?。何や声が響いてンで、何処に居るん?」
相変わらず勘がええとゆうか、よぉ気が付く。
「アッ、いや‥家やけど‥‥」
まさか、風呂から出てそのまま裸で電話に出てるともゆえずにいると、
「クスッ。トイレか?」
と笑われてしまい、恥ずかしくて、
「ちゃ、ちゃうわ。風呂や。」と正直に答えてしまう。
「アハハー、なんやねん。それ。やったら、後でかけ直そか?‥‥‥裸なんやろ?」
「///‥大丈夫や、もう出てるし。‥‥それに、裸とちゃうし‥‥」
「クスクス、嘘ばっかしィ。まっ、ええけど‥お湯そのまま沸かしといてや。俺も入りたいし、 ‥それでな、ちょっと早なんで。今、大阪な。上手いこといったら10時位に帰れる。」
「‥ホンマに?‥無理してんのとちゃうやろな。俺やったら、遅なっても平気やで。」
「アホやな。無理してんのは一裕やろ?俺の為に起きてるつもりみたいやし、‥‥アカンで、お前も仕事があんやから寝てたらええねんで‥
一裕、好きやで。‥‥好きやから逢いに行くんやから‥‥なっ。」
「うん‥‥‥」
嬉し過ぎてそれ以上言葉が出てこない。
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