季節外れの‥‥15

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いつもより優しく響く声が頭の中でこだまする。 電話が切れても携帯に耳をあててしまう。 身体が冷え始め汗がひいてきて肌寒くなり着替えを始める。 時計を見るとまだ8時。待っている間に録り溜めてあるビデオが観れそうだ。 「ホラーはまず除外やな。アニメもな‥‥泣けるのもなぁ、‥‥」 色々とタイトルを見ては思うようなものが見当たらない。 洋画もなぁ、‥と考えて 「アース?‥なんやろか。」 何気に観てみると、 鳥の飛ぶシーン、‥南極‥‥熊‥‥河や海‥‥ 「地球か‥‥」 そのまま何も考えずにボンヤリ画面を目でおう。気が付くと9時半をまわっていた。 「なんやもうこんな時間や。ソロソロ飯の準備しよか‥‥」 一人言がやけに部屋に響く。 いつもは一人が当たり前で意識した事がなかった。 今夜は貴史が逢いに来てくれる、それだけで今一人でいる事がもの悲しく思える。 ‥ホンマは逢えるンやから喜んだらええはずやのにな。 まだ、心の中にアイツの家庭が引っ掛かっているせいかもしれない。 コンロに火をつけ下拵えした物を冷蔵庫から取り出す。 予め切っておいたキャベツとトマトを盛り付けて、横にポテトサラダを添える。 小鉢に蓮根の金平を盛り付けて、忘れないように弁当の分を取り分けて置く。 油が適温になると、はさみ揚げを揚げ始める。 ‥中身は一応 牛ミンチのやつと、鶏肉ミンチに梅肉の二種類用意したけど、どっちのはさみ揚げなんやろか? 聞いておけばよかったと後悔しながらも手際よく揚げていく。 ‥後は、海老を揚げたら出来上がりや。 味噌汁もええ塩梅に出来たし‥ そんな事を考えていると少し遠慮がちに音をたてないように急いでいる足音が聞こえてきた。
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