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ご飯を完食して、二人で煙草を吸い始める。
思い出したように、
「せやっ、一裕にお土産あんねんで。‥」
鞄を横に置き中身を探る。
「クスッ、そんなんええのにや。」
その言葉にニヤッと笑い、
「これ見てもゆえるか?」
取り出したのは、一本の地酒。
「ウッワァ~!ありがと。‥喜んで頂きます。」
手のひらを反したように喜ぶ俺を笑いながら、
「やろ?何にしよか迷たけど、やっぱ酒やろなぁッて、‥‥」
「ぅん、メッチャ嬉しいで。一緒に呑もな。」
クシャクシャの笑顔でゆうと、
「せやな、旨いアテでもこさえてや。」
「ぅん、‥‥楽しみやな。大事に置いとくな。」
「とかゆうて、先に呑んでしまうんとちゃうん?」と、笑われた。
ご馳走さまを合図のように、煙草の火を消して、後片付けを始める。
キッチンで洗い物をしてる俺の横に立ち黙ったまま俺を見つめている。
「何やねん。早ょ風呂入ってこいや。」
「ン?今夜来たんは一裕の顔見に来たんやで。まだ、ゆっくり見てへんやん。」
恥ずかしげもなくゆうて優しく笑うから、俺は紅くなった顔を気付かれない様に、そっぽを向きながら
「プリンこうて来たぁるから、早ょ風呂入ってこいや。」
「えっ、マジ?‥風呂いってきます。」
子供の様に素直に風呂場に向かう。
‥クスクス、俺様の貴史がガキんちょみたいに。
と思っていると風呂場から
「なぁ~、着替え持ってきてや。」
「はいはい。‥」
予め買って置いた下着とスウェットを持って、開けんで‥と声をかけドアを開ける。
まだシャツを脱いだだけの上半身裸のまま貴史が不機嫌極まりない顔で突っ立っていた。
「‥?‥はい、着替え持ってきたで。」
着替えを見て更に眉根がよる。
先程とは違う低い声で、
「一裕‥‥俺以外に誰が来たんや?‥」
「ン?‥けぇへんよ。何で?」
「‥‥‥」
俺を見据えたまま黙りこむ。
「何で‥‥怒ってンや‥‥」
恐々聞く俺の腕を掴み、
「この着替えどうしてン?」
「これ?‥そ‥の、今日泊まって‥‥くってゆうたから‥‥買って来た‥‥‥」
そうゆうて怒られると思い言葉に詰まってしまう。
「ん、こうて来たんやな。‥‥じゃ、あれは何やねん!」
洗面所に並んだ二つのお揃いの様なコップと歯ブラシを指差す。
「あれは何やねん。‥‥誰が泊まったんや。‥ゆえや。俺の居らん間に誰がこの部屋に来たねん!」
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