季節外れの‥‥15

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俺の傍まできてしゃがみこむ。 羽織っていた上着を脱ぎ、俺の肩に羽織らせて涙を拭う。 「泣きなや‥俺の知らん間にえらい泣き虫になってしもて‥‥」 「‥な、何でなん‥帰ったんと、ちゃうん‥」 目の前には困った顔で眉がハの字に下がった貴史が居た。 「はぁ?何で帰らなアカンねん。コーヒーこうて来ただけや。‥」 上着のポケットから缶コーヒーを二つ取り出し、ホラッ‥と手渡される。 「目覚めたらお前の寝息が髪にかかってこしょばいし、‥俺の事大事に抱えてるし、‥‥ ムッチャ、色気ありすぎて‥‥俺、寝られへんやん。かといって、寝てる奴に手出せんしな‥しゃぁないからコーヒーでもって‥‥」 悪戯っぽく笑って、俺の頭を撫でる。 「やから‥‥泣きなや‥なっ、」 「‥ぅん‥‥」 泣き止んだのを確認して 「でやな、誰が嘘つきやねんな‥‥ン?」 「やって、起きたら居らんし‥服も、靴もないし‥‥ごめん。」 「俺ッて、そんなに信用無かったんや‥」 「ちゃうから‥そんなんやないし‥」 慌てて取り繕うが、貴史は心底残念そな顔をしながらも冗談を交えて囁く。 「許して欲しかったら‥‥せやな、キスしてや。」 「///‥やっ、ムリや‥‥」 恥ずかしくてうつ向くと、更に追い討ちをかける。 「なら、抱いてええンか?。‥」 本気の貴史の心が見えた。 「‥‥」下唇を噛み締めたまま返事が出来ない。 切なさが胸を締め付け俺の鼓動が貴史を求めているように思えた。 「‥ごめん。冗談や‥‥そんな顔せんとっ‥「抱いてや‥‥」」 貴史の言葉を遮って呟く。 「キスしてや‥‥俺の全てに。‥今夜だけでええから俺を貴史のもんやって身体に刻んでや‥‥」 すがり付くように貴史の瞳を見つめてしまうと、想いが溢れて止まらない。 「怖いねん。‥お前がさよならってゆうて消えてしまいそで。 もう、逢えんかったら‥‥ 全部、俺の妄想やったら‥‥ やから‥俺の身体に刻んでや‥貴史が居ったて事実を、」 「一裕‥‥」 「この部屋に居る時は俺はお前のもんやって‥‥ お前は俺のもんやって‥ 夜はイヤや‥‥怖いねん。さよならってゆわれそうで、俺‥‥」
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