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‥初めて出会った頃にはもう、シングルマザーやったから先輩の愚痴もよぉ訊いたわ。
ある時な‥‥酒に酔った先輩から打ち明けられてンよ
後、僅かしか生きられへん事を…
後に残る子供が心配な事を…
金銭面は、自分の生命保険があり貯金もあるから心配は無いのだが……
病気やってんなぁ~…
俺、一緒に居っても全然気ィつかんかってン………
難しい事は、俺もよぅ解らんけど後に残る子供がなぁ……
先輩には身寄りが居らへんねん。
このままやったら多分、子供は施設送りになる。‥‥
里親に出されるかも知れんし…
俺な‥‥黙って居てられへんかってん…
同情なんかやなかった。
ただ、泣いてる子供の顔が…浮かんだんや。
それだけの事や……
一緒に居って、一から仕事教えてもろて家族同然の様に世話になってた。
やから‥‥俺は、迷わんと先輩にゆうたんや。
「俺が父親になる。」
けどな、養子に出すんは嫌やったんやな。
「嫌や…姓が変わると、あの人も私も子供との繋がりがなくなってしまう。‥‥私達の子供やなくなる。」
「ほな、俺と結婚しよや。‥‥俺、婿養子になるやん。
そしたら、先輩の姓が変わる事も無いやん。
なぁ…そうしようや。大丈夫やって…
もしかしたら、先輩の病気も子供の心配もなくなって安心したら治るかもしれんやん。‥‥
なぁ…そうしようや。」
「アカンよ。待ってる人が居るんやで…
ちゃんと待っててあげて。」
先輩はずっと、俺とお前の事を心配してくれてた。‥
けどな、やっぱり知らん顔なんてでけへんかってん……
「大丈夫やって。そうしようや、なっ。一番ええ方法やん。
赤の他人に育てられるより、絶対その方がええって。」
ホンマに心からそう思った。‥
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