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「‥ぉん‥‥ 」
返事をしながら、貴史の顔を見ると、愛しそうに俺を見つめていた。
「‥また今度、ゆっくりと話しよや。
時間が勿体ない。‥俺‥一裕が欲しい。
一裕と‥‥感じあいたい。
なぁ…抱いてもええか?」
貴史の顔を見ると、目を細めて余裕のない表情をしていた。
‥貴史が俺を求めている。
そう思った。
俺にも余裕なんてもんなかった。‥
けど、
「今夜は‥‥アカン‥。
やっぱり、ちゃんと話し合って子供に認めてもろてからやないと‥‥俺‥。」
ただでさえ、俺の部屋に泊まってるって事は今、一人きりで居るのだろう。‥‥
子供が一人きりで‥‥
そう考えると‥
「そっか‥‥一裕がそうゆうンやったらしゃぁない。
抱き締めるだけやったら‥‥かまへんか?
その‥‥キスしたいンやけど、‥
一裕が、俺のもんやって…
せっかく、ちゃんと解り合えたのに‥なんも無しやったら寂しいやン。」
軽く唇をなぞられて、貴史の唇を見つめてしまう。
「‥貴史‥‥ンっ、‥俺も‥‥ぁ‥」
最後まで聞かずに唇を塞がれる。
咬みつくような唇は首筋から鎖骨に這っていく。
鎖骨を甘咬みされて思わず声が出る。
「‥ンっふ、‥ぁ‥貴、史‥‥」
唇がゆっくりと離れて
「‥ン?‥なんや?…
そんな顔して‥‥そんな声で縋り付かれると、我慢できんで。‥」
そうゆうて前髪をかきあげた。
「貴史‥‥俺も‥でけへん。」
其れが合図かの様に、お互いに競いあうように、互いにキスを交わした。
一枚、‥一枚‥‥と、まるで桜の花弁が舞散ったかの様に、お互いの身体を染めていった。
その度に昔に戻る気がした。‥‥
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