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そのまま、俺達は眠ってしまう事も出来ずに、ただ毛布の中で仔猫がじゃれあう様に身体を温めあっていた。‥
‥‥ン?‥あぁ、味噌汁の匂いや。
ベッドから寝不足の身体を引き離した。
キッチンでは既に、一裕が朝食を作っていた。
その後ろ姿を眺めていたら自然と愛しさが込み上げてきて、気が付けば背中から抱き締めていた。‥
「‥おはよ、一裕‥‥」
「‥ 貴史‥おはよ。‥」
チュっ‥‥
‥‥振り返り様に、一裕から余りに自然なキスをもらった。
「アハハ、ご機嫌さんやな。」
「当たり前や‥‥朝起きたら横に貴史が居って‥
‥‥まだ‥‥」
少し顔を紅く染めた。
「目‥赤いで。寝不足か?… 」
「‥貴史もやン。仕事、大丈夫か?」
「あぁ、どうせ移動中に寝るし。」
「ソッかぁ、‥良かった。あっ、弁当作ってあんで。」
テーブルの上には当たり前の様に弁当箱が二つの並んでいる。
思わず、幸せやなぁ~…って、沁々感じた。
照れたのを悟られ無い様に、
「ありがとう。‥一裕の弁当美味いから楽しみや。‥何か手伝おか?」
幸せそうに微笑んで、
「ええょ。顔、洗っといでや。朝飯にしよや。」
俺は頭を掻きながら、言われたまんま黙って従った。
洗面所で顔を洗い鏡に映った寝不足全開の顔を眺める。
「アハハ、マジ目真っ赤や。」
だけど、幸せに頬が緩む。
こんなにスッキリした朝は何年振りやろか?‥‥と、考えて自分の単純さに笑えてくる。
Tシャツの隙間から昨夜の桜の花弁の様な印が無数に見える。
‥クスッ、一体どんなけ付けたンや…
せやっ‥‥
「なぁ、一裕、チョッと‥‥」
キッチンに声を掛けると、
「何やねんな。歯ブラシ置いてあるやろ?…」
と、クシャクシャの笑顔で俺の傍に来る。
無言で一裕のTシャツを捲る。
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