季節外れの‥16

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「そんな事ないで。一裕は俺の可愛い‥恋人やから‥‥。」 「‥ぅん、‥ありがと‥‥」 涙が滲む。 指で拭い取りながら、 「ほらぁ、‥泣きなや。ホンマに泣き虫になったな。‥ 大丈夫か?一人で留守番出来るンか?」 わざと揶揄う様に子供扱いしてやると、 「出来るわ。‥ けど、出来へんってゆうたらどうすんねん。」 って、恥ずかしそうに微笑むから 「せやなぁ、しゃぁないから‥俺仕事辞めてまおか?」 と、言ってやった。 俺の言葉に目を真ん丸にして驚く。 「あっ!アカンって、大丈夫やから‥」 慌てて取り繕うさまが余りに可愛いかったので 「それやったら、お前を連れて仕事行こか?」 と、追い打ちをかけてやった。 呆れた様にクスリッ、と笑うと一声「‥アホか‥‥」と呟いた。 「‥でも、‥‥その言葉だけで充分や。 俺‥待ってられる。‥今までとちゃうし。」 そう言って俺の服の裾を掴む。 「しかし、‥お前も独占欲強いなぁ。‥まっ、昔のまんまで嬉しいで‥‥ こんなに付けてもらえるなんて思わへんかったし。 お互い冬場で良かったな‥あんまり目立たンで。」 「ぅん、せやな。外へ出られへんよな。」 と、声を出して笑い合った。 「ホンマに良かった‥‥。何かやっと、再会出来たって感じやな‥。」 「‥ぅん、‥‥。 」 改めて顔を見合わせて微笑む。 「さぁ、飯にしよや。‥」 「あぁ、仰山食べてや。‥お前、少食やから‥ 仕事も忙しいンやろ? 」 「まぁな‥ボチボチやな。」 二人揃ってテーブルにつく。 テーブルには、お揚げさんの味噌汁とだし巻き、それに鰆の西京焼き。 「朝からマメやなぁ~。手間掛けすぎやン。」 「ンっ、やって貴史痩せてるやン。ちゃんと朝、食べてや。‥身体壊したらアカンから‥」 「クスッ、エライ心配性やな。」 お茶碗を受け取りながらの、何気ない日常。‥‥ お互いの然り気無い気遣い。 眼が合うと フワリと微笑むやわらかい時間。 「じゃぁ、‥頂きます。‥ 」 二人揃って食べ始める。 前回も思ったのだが、やっぱ一裕の料理は旨い。 「俺の料理より遥かに旨いな。‥けど、今度俺ん家に来たときは俺が腕によりをかけて作ってやるからな。」 「あぁ、期待してるな。」
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