季節外れの‥16

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旨い朝飯を食べ終えて、今日は俺が後片付けをする。 その後ろで一裕が学校へ行く用意をしていた。 洗い物が終り傍に行く。 「クスッ、ネクタイ曲がってンで。‥」 ネクタイを締めなおしてやると、嬉しそうに鏡を覗き込む。 「ンフフ、今日は一日解きたくないな。 学校で着替えるの止めとこかな。‥」 「はぁ?何でやねん。」 「やって…折角結んでくれたのに‥‥ 白衣になったら下はTシャツやもん。直ぐ解かなアカンやン。 ぅん、今日はシャツのままで居ろう 。」 クシャクシャの笑顔で俺に笑いかける。 「まっ、好きにしぃや。 そんな事せんでもネクタイ位なんぼでも結んだるけどな‥‥。」 「ホンマに!?。‥‥」 「あぁ。」 単純に喜ぶアイツとは反対にコッチが恥ずかしくなり、TVをつける。 そんな俺にフワリと微笑んで横に座る。 「なっ、貴史はまだ大丈夫なん?。」 「あぁ、昼頃出掛けたら間に合うから。 やから、洗濯しとこか?」 「ええょ。‥ゆっくりしててや。」 「ありがと‥。ちゃんと戸締りして行くから心配せんでもええょ。 やから、早よ支度しいゃ。」 目を合わさない俺の横で何かを言い出しかねている。 「‥なぁ…、」 「どうしたン?遅刻すんで。」 「‥ぅん、‥‥あのな、また電話‥‥‥」 「ン?」 「‥そのな‥‥今までみたいに‥‥」 眼にかかる髪を指で なぞりながら口ごもる。 「クスッ、当たり前やン。何なら、一裕からかけてきてもええンやで。」 「‥ぅん。」 まだ出掛けずにいる一裕に 「どうしたンや?まだ、何かあるンか?」 「‥ン、次はいつ位になんのかな‥‥って…。」 「せやなぁ、1週間位やと思うけど。」 「ソッかぁ…」 少し淋しそうに項垂れる。 「そんな顔すんなや。俺も淋しいンやで。‥」 「‥ごめん、‥‥行ってきます。‥」 項垂れたまま立ち上がり玄関で靴を履いている。 俺も立ち上がり後に続く。 「一裕。」 「ン?‥‥」 ネクタイを掴み頭を引き寄せる。 頬に咬みつくようにキスをすると ニカッと笑って 「行ってらっしゃい。‥浮気したらアカンで。」 そうゆうと目を真ん丸にしたまま俺を抱き締める。 「貴っ、‥貴史‥‥///。 浮気するわけないやん。お前の方が心配や。‥ 俺以外にもこんな事してへんよな?…」 歪んだネクタイを結び直しやりながら 「するか、アホ。お前だけや。 ほら、シャンとして行ってこい。」 「ン、行ってきます。」 それを聞いて、ホっとした顔をして出掛けていった。
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