季節外れの‥16

12/15

44人が本棚に入れています
本棚に追加
/343ページ
送り出してからベランダにいき、後ろ姿を見送っていると アイツは振り返り手を振る。 俺もそれを見て手を振る。 何度も振り返り手を振る。‥‥ 「アハハ、子供やン。何が嬉しいンや‥‥。」 角を曲がり見えなくなるまで眺めて俺は部屋に入る。 ‥ホンマに良かった。これでアイツも笑って居れるよな。 泣かしてばっかりでごめんな‥ 部屋を見回すと クッション、タオル、食器類に枕や寝間着、部屋着‥‥前回には無かった俺専用の物が‥‥ まるでお揃いのように用意されている。 まだ部屋に来るのが二回目なのに変に居心地良く、明るく感じたのはそのせいかも知れない。 一人分だった物が、二人分に増える。 ただ、それだけの事で一裕の心も 明るくなっていたのかも知れない。 ‥どんなけ 俺の事、好きやねんな。って感じやな。次は俺専用の布団まであったりして‥ と、考えてから ‥いや、それはないか。まっ、別々に寝る気なんか更々ないし。 それに、次は俺ん家にも一裕のもんが増えてくンやろな。‥ 今の義行みたいに‥‥ ‥せやなぁ、その時には一緒に買いに行きたいなぁ。 洗濯をセットしながら考える。 ‥‥クスッ、まっ、ええタイミングで先輩の話も出来たし ホンマに良かった。 まぁ、おあずけ食らったンは予想外やけど‥‥ けど、あんなけ痕が付いとったら一裕を狙う奴等の牽制にもなるし‥‥ まぁ、OKか‥‥‥ さっきも頬っぺたに付けてやったし‥‥ 思い出しては 顔がニヤニヤしてくる。 気が付いた時の慌て様を想像すると可笑しくて仕方ない。 ニヤニヤが止まらないまま煙草に火を点けTVを観る。 表が騒がしく感じはじめる。 聞き耳をたてていると、徳一と義行の声が聞こえてくる。
/343ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加