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「なぁ‥徳一折角お父さん帰ってンのに、
昼御飯一緒に食べへンの?」お握りを作りながら尋ねる。
「ええねん。親と食うより義行のお握りが
ええ。」と笑い、大きな口でお握りを頬張る。
お父さんに申し訳がない。大事にされているのがいやというほどわかってるし、案外世間知らずで危なっかしいのも知っている。
トゥルル~トゥルル‥‥
「何?もう仕事行くン?」
徳一が電話にでる。帰ってあげればええのに と思う。
ぼんやりしてると
「なぁ~何食べたいやって。晩飯作って置
いとくって」
「徳一‥自分の食べたいのゆうわな‥」
お父さんの哀しそうな顔が浮かぶ。
「やって、義行も一緒に食べるやろって」
‥ええお父さんやな。まさに、親の心子知
らずやン‥
コッチを向いて徳一がねだる。
「なぁ~ふわふわ玉子の食べたいねん。」
「はいはい、オムライスやな。ええよ」
ニカッと笑って、
「オムライスやって。」
電話を切った徳一が
「玉子は義行に巻いてもらいって」
‥はぁ~ホンマに申し訳ないわ
「取り敢えずお握り食べたら家に帰ろ。
お父さんに申し訳ないわ」
「いやや!晩までここで二人きりで居りた
い。」
ジィーッと顔をみていたが義行に逆らえず、
「じゃあ、今日は泊まってくれる?」
「アカンよ。お父さん心配させたら‥なっ」
優しく諭されて仕方なく頷く。
今からだと多分スーパーからの電話だろう。ここからだと買い物の荷物を持ってあげることが出来るはずだ。
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