季節外れの‥16

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‥なんやねん、アイツらまだ学校へ行ってへんのかい。 「なぁ、義行。先生のとこ TVの音してへん?」 「ぅん? 先生真面目やからもう出掛けてるって。 他所とちゃうん?」 それから少し声が小さくなる。 「徳一、きっと彼氏やで。‥ 先生ゆうてたやん。昨日逢いに来るから店教えてって…。」 「ソッかぁ、じゃあ今居るンかな。」 ‥ン? 何やアイツらに店訊いたンか? にしても、生徒に相談って先生としてはええンかいな。 と、思いつつも一裕らしくて つい笑ってしまう。 「先生の彼氏ってどんな人なん? 義行訊いてへんの?」 「ぅん。恥ずかしそうに『迷惑かかったらアカンから‥』って 全然話してくれへん。 けど、ええ人みたいや。 先生の事ホンマに大事にしてる気がする。‥‥ 先生もおんなじくらい‥‥ やって、あんなに幸せそにプリンを抱えて帰ったやん。」 「そやな、プリン‥‥気に入って貰えたンやろか。」 「早よ行って聞こか。」 そんな話をしながら バタバタと出掛けていった。 ‥一裕も大変やなぁ。 クスクス笑いながら、窓から二人を眺める。 仲良く肩を並べて歩いている。 …俺らもあんな時あったよな。 ‥せや、プリンまだあったよな。 全部食べてしもてもええやろ。 冷蔵庫に行きプリンの箱を取りだし蓋を開けると、中にメモ用紙が入っていた。 〈貴史、…俺の分も食べてや。‥一裕〉 …あちゃぁ、全部お見通しかい。 プリンを全て食べ終えてから、そのメモ用紙の空いた部分に一言書き添えて、から箱に入れ冷蔵庫に戻した。 ‥さぁ、洗濯でも干すとするか。 今日もええ天気や、… 一裕にええ事あるとええなぁ‥‥ そんな事を考えながら干し終えて、出掛ける仕度を始める。
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