季節外れの‥16

14/15

44人が本棚に入れています
本棚に追加
/343ページ
トゥルルル‥‥トゥルルル‥‥ 「はい。」 「貴史?…」 「あぁ、何や? 忘れ物か?」 「ちゃうし‥‥あのな、気ィ付けて 仕事行ってらっしゃい。‥///」 緊張しているせいか、電話の声が裏返っている。 「クスッ、あぁ、行ってくるわ。‥一裕、ありがと。プリン、旨かったで。」 「ぅん。‥‥あのな‥‥貴史。‥‥」 また、何かを言い出しかねている。 なるべく威圧的にならないように優しく聞き返す。 「ン? 何やゆうてみ。何かあったんか?」 「‥ぅん、違うねん。‥‥ あのな‥‥ホンマに‥その‥俺ん家に‥‥」 「なんやねん。ウジウジして。はっきり言えや。」 「ま‥また、俺ん家に来てくれるよな‥‥ ‥もしかして、‥‥最後やないよな‥‥」 不安気に訊いてくる。 「はぁ?まだ寝惚けてンのか?」 「‥やって、‥」 「あほくさ‥。一裕、俺言うたよな。‥好きやって、嘘やない。 そんなに信用ないか?‥ 昨夜のお前は素直やったのに。‥俺に痕つけながら切なそに唇震わせて、俺の名前呼んで‥‥‥ お前の事を心配する俺の事が愛しい‥って 俺の事を‥‥愛してる‥‥って、ゆうてくれたやん。 嘘やったんか? ちゃうやろ? 今思い出すだけでも、仕事に行きたくなくなるやん。‥‥ 心配やったら俺がつけた痕を見ィや。 リングも、持ってるンやろ? ‥‥お前は、俺のもんやから絶対に離さへん。 もう、何処にも行かさへん。 ええな。‥‥ 今度は何処迄も追い掛けるからな。 やから、一裕は音無に俺の帰りを待っとたらええ。わかったか?」 「‥‥ぅん‥」 まだ少し信じきれてないようだ。 「あほくさ、落ち込むなや。‥‥ そやなぁ、お土産買ってきたるから。」 「子供とちゃうわ!」 「おんなじやんか。」 「‥ちゃ‥ちゃうわ。‥‥子供やないから、‥‥その‥‥なんや‥‥心配になるんや‥‥」
/343ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加