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電話からは余りに情けない声が訊こえてくる。
「‥せやなぁ、俺も心配や。お前は隙が多すぎるからな。」
「‥ン‥気ィつける。‥‥」
「クスッ、自覚してんのや。」
「笑うなや。‥昔からお前によぅ言われたからや。‥」
恥ずかしながら答える声は、心なしか嬉しそうだ。
「‥なぁ、‥‥いゃ、ええ。
気ィ付けて行ってらっしゃい。‥」
「なんやねんな。‥‥また、電話するから。
毎回、今日何あったか事細かに訊くから覚悟しとけや。」
「ぅん‥多分俺も訊くから。‥
クスッ、ありがと。‥貴史‥‥大好きや。‥」
「クスッ、俺もや。‥一裕、大好きやで。」
電話をきってから改めて思う。
‥アホやなぁ‥‥
また、鬱々と考えこんでしもて‥
きっと何もかも自分自身の妄想やった気になってしまったみたいだ。
全て幻やったんやないかと疑っているのがわかる。
‥昔のアイツもそうやったんや。
勝手に一人で悩んで、勝手に悪い方に妄想して
いつも不安気やった。
俺は今、一裕に何をしてやれるンやろか?
これからは、もっと不安になる事もおおいやろうし‥‥
その時、何てゆうてやればええンやろか?
その事を考えながら部屋を後にした。
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