季節外れの‥‥17

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放課後になるまでの間、先生方や生徒達が意味ありげに俺を見て笑っている気がした。 ‥あぁぁ、いややなぁ。何か深読みされてそうで。  別にまだナニかをしたわけや無いのに  無茶苦茶恥ずかしわ‥‥  いやいや、したからええってわけや無いけど‥‥ 本日、何回目になるか数えきれない位のため息を吐き出した頃 義行がやって来た。 「先生、眠たそうやな。」 「えっ? あぁ、まあな。‥‥ちょっと寝不足かな。」 そう言いながら立ち上がりいつもより濃いめのコーヒーを淹れ始める。 「なぁ、訊いてもええ?」 いつもの定位置に座った義行がグランドを眺める。 「こんなん先生にしか訊かれへんねん。‥ 僕はよぉ解らんのやけど、‥その‥痕って付けてもらいたいもんなん?」 「へっ? いきなりなんやねん。‥」 恥ずかしくて声が裏返る。 「やって、先生案外嬉しそうやん。相手の人も目立つとこに付けて俺のもんって感じやし‥‥ やから‥‥相手に付けたり付けてもうたりすんのって、嬉しいん? 幸せに感じたりすんの?」 義行の顔はいたって真面目だ。 だから素直に本音を言ってしまう。 「う‥ん‥‥。俺は‥嬉しい。‥‥幸せや‥。 やって、俺はいつも逢われへんやん。だから、逢えん分‥‥痕が付いてる間は自分に言い聞かせられるやん。 大丈夫や、って‥‥。 俺はまだ愛されてる、って‥‥。 嘘や無かった。アイツは‥‥俺に逢いにきてくれる。‥って 信じられそうやねん。‥‥変か?」 「ううん、‥けど、僕には、よぉ解らん。 僕はな、徳一に付けるのイヤやねん。‥やって、見た奴等は想像するやろ? 徳一の‥その‥あの時の姿や声とか‥‥。 そんなん考えただけでたまらなくイヤやねん。 出来るンやったら、‥‥誰の目にも晒されん様に閉じ込めておきたい位や。‥ それって、‥‥変かな。危ない奴なんかな。‥‥」
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