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貴史からの電話は毎晩、毎朝変わらずにあった。
その事が嬉しくて、逢われなくてでも何とか不安にならずに過ごせた。
ただ、夜の電話は相変わらず‥‥切なくて、淋しくて、‥‥
切るのが嫌で、つい‥‥長話になってしまう。
そんな俺に半場呆れながらも遅くまで付き合ってくれる優しさが嬉しかった。
アイツの声は相変わらず甘い囁きの様に俺を慰めてくれる。
けど、俺からかけることは一度もなかった。
「ごめんな。‥全然かけんと。‥‥
電話は‥‥」
「ええよ。どうせ一裕の事やから、仕事中やったらどうしよ、とか‥寝てたらとか、そんなん考えてるんやろ?」と、図星を突かれた。
「ハハハ、そんなけ俺の事を想ってンねんなぁ、って‥‥やから、無理せんでええよ。」
「‥///‥‥ン。」
察しの良いアイツはそう言って笑った。
不意に沈黙が訪れる。
その沈黙を貴史が切な気に壊す。
「‥なぁ、一裕。俺な、‥‥逢いたい。直に、‥お前の温もりを感じたい。‥‥」
「俺もや‥‥逢いたい。‥このまんまやと全部俺の妄想かなって‥思ってしまいそうや。‥‥」
「クスッ、なんでやねん。」
「やって‥‥一人やと‥‥寝られへん時とか‥
考えてしまうんや。‥
もし、このまんま電話無かったら‥‥」
「アホか!!」
俺のネガティブな考えを間髪入れずに一喝する。
「ええな。次に逢うた時には、そんな不安全部なくしたるから。‥
電話でゆうてもお前は信じへんやろ?
やから、身体洗って待っとけや。‥わかったな。」
「クスッ、それをゆうンやったら首洗ってやろ?」
「あらまっ、可愛いがるの首だけか?‥‥そんなんで、お前は我慢出来るンか?
俺は無理やで‥‥。やっぱ、身体の隅から隅まで全部やろ。‥‥」
更に甘い声で囁かれる。
「‥/////‥‥アッ、アホな事‥‥ゆうなや。」
「前回、俺ムッチャ我慢したンやで。‥まさか、一裕からおあづけをくらうなんて思わンかったからな。」
今度は意地悪く囁く。
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