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次は俺が恐る恐る訊く番や。‥
「貴史‥‥は?‥その‥‥誰かに貰ったん?」
普通で考えても貴史の方が心配に思える。俺の周りには子供じみた学生ばっかりで恋愛対象には入らへんけど‥‥アイツの周りには若い可愛い女性が多いはずやから。‥
そんな不安を簡単な言葉で吹き消す。
「俺、貰ってへんで。」
「‥マジで?‥‥」
「マジや。全部断ったし。」
「‥何てゆうて?‥」
「俺のコイツが妬きもち妬くからって、胸のリング出したら皆が、御馳走様ってゆうてチョコ引っ込めるで。」
「‥///‥そんな断り方すんなや。‥恥ずかしいやっちゃな‥」
‥けど、やっぱりモテるンや‥‥
そうやよな、昔からそうやったもんな。
少し声のトーンが低くなったのをアイツは訊き逃さなかった。
だから、ワザと囁く様に優しく話を続ける。
「嘘とちゃうやろ?‥ホンマの事やし。
一裕、‥‥妬きもち妬くやろ?」
「‥ぅん‥‥(まぁ、落ち込むわな‥)」
「だからや。‥なっ。心配要らへんで。‥
俺の分楽しみにしてるからな。」
「‥ぅん‥‥」
‥何で貴史はサラッと俺の事解ってくれるンやろか。
こんなん‥‥嬉してしゃぁないやん。
「ぉっ!俺な、‥」
「ハハハ、何やねんな。いきなりテンション高なって‥‥」
「‥逢いたい!早ょ逢いたい。‥」
「クスッ、‥ホンマに昔から変わらんな。‥(落ち込んだと思ったら‥‥俺に甘えてきて‥)」
「やって、我慢何か出来へんやん。‥‥
なっ、一番に逢いたいから駅まで迎えに行ってもええ?
なぁ、チョコも持ってくから‥‥
‥‥アカンか?‥」
「ホンマにどんなテンションやねん。ハハハ、ええ子やから部屋で待っててや。
俺の我儘やけどな、俺はただいまって、ゆいたいねん。
お前の部屋が見えた時に灯りが点いてて、‥‥
偶にお前の影が映って‥‥絵葉書みたいで
階段を上がって行くとええ匂いがして‥‥
暖かい部屋で一裕が振り返って‥‥
笑って、お帰りって‥‥ゆうて欲しいねん。
なっ。‥ずっと思ててんな。俺の幸せってこれやねん。
やから、一裕‥‥待っててや。俺を‥俺だけを‥お前の部屋で‥‥
俺の事想い浮かべて‥‥なっ。」
まるで、俺の不安や淋しさを拭い去るかの様に優しく言葉が積み重なり、俺の心にアイツの優しさが染み渡り、口からは素直な言葉が出る。
「‥ぅん‥‥待ってる。‥ずっと、‥
けどな、ホンマに帰って来たら一番やで。
俺が一番先に、‥‥逢うんやからな。」
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