44人が本棚に入れています
本棚に追加
/343ページ
「///‥アッ、アホか‥‥しんどい時に、じょ‥冗談は止めぃや。」
「何でや?お前がゆえやってゆうたンやで‥」
「そやけど‥‥ン‥そやな、‥‥
けどねぇ‥‥しゃぁないやんな。好きなもんは好きなンやから。」
「おぉー。言い切ったな。ハハハ。」
そう言って笑うアイツに安堵して今日はいつもより幾分短めに電話をきった。
‥大丈夫なンやろか。
なんやかんやゆうててもアイツの方が身体を壊しやすいンや。
昔からや‥‥腹痛とか、頭痛とか‥‥かなり酷かったし。
最近、無理してたみたいやし‥‥
ただの風邪やったらええンやけど‥‥
と、どうしても電話をきると不安ばかり広がり、遠く離れた俺には何もしてやる事が出来ない不甲斐なさに心が締め付けられ
「‥貴史‥‥」俺は無意識の内に祈る様に胸のリングを握り締めた。
それでも仕事は仕事と、俺は気を取り直し学校へ向かった。
いつもの様に白衣に着替えてボンヤリとコーヒーを淹れる。
‥まぁ、明日には逢えるンやし。‥‥
それに、‥俺‥一番やもんな‥‥
何とか不安を掻き消し頭を仕事に切り替えようとするが、案の定、朝からはずっと仕事が手に付かず、上の空だった。
そんな俺をいつも入り浸って居る先生や生徒達が心配し噂をし始める。
「何か変やな。」
「溜め息ばっかついてンで。」
「先生、疲れてンかな。」
「やっぱ、忙し過ぎンやで‥」
「それとも、‥前の電話の相手と何かあったとか。」
そんな風に午前中は遠巻きに皆が様子を伺って静かだったが、昼になり義行や徳一がやってくると堰を切ったように皆が雪崩れ込んでくる。
その内に、家庭科部の女の子が聞いてくる。
「先生、今日はどうしたン?元気無いやん。」
「あぁ‥‥まぁ、ちょっとな。」そう言いながら溜め息が漏れる俺に更に小さい声で、
「ケーキ彼氏と何かあったン?」
「えっ、‥ぃや別に‥‥ちゃうよ。」
「フーン、‥‥まっ、ええけどねぇ。‥そやった、レシピ。これで仲直りでもしてや。」
そう言って新しいレシピを手渡される。
‥勘がええって言うんか悪いって言うんか‥
しかしなぁ、俺何もゆうてへンのに〈彼氏〉って‥
レシピを片手に、知らず知らずの内に携帯をチェックしてる自分に気付く。
‥アカン、まだ皆が居る。
そう思い直して携帯を机の引出しにしまう。
最初のコメントを投稿しよう!