季節外れの‥‥18

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皆が口々に、 「先生、どないしたン? 疲れてンの?」 「明日から連休やからゆっくりしぃや。」と、声をかけてくれる。 「あぁ‥ありがと。‥‥せやな、休みやな。」 「休みの間どっか行くん?」 「別に、‥家でビールでも呑んでDVD観て寝てる。‥」 「ハハハ、もろオッサンやんか。」 「何やねんな。お前らは‥‥ええか、よぉ聞けや、俺は‥お前らの相手で疲れとんねん。」 と、笑ってやった。 一通り相手してからまた、無意識の内に携帯をチェックしてしまう。 チャイムがなり、皆が教室に戻り始めると、義行と徳一が側に来て声をかける。 「先生?ホンマに何あったン?」 「俺ら話聞くで。‥何か異様にテンション高かったし‥‥」 「そやで、‥それに、電話、気になってるみたいやし。」 俺の様子がよっぽどおかしかったのだろう、心配気に聞いてくる。 「‥ン‥ちょっとな。」 言葉を濁すと、 「アカンよ、‥‥ゆわな。僕ら何も出来へんけど、話してや。何かあったンやろ?」 「ぅん‥‥アイツな、仕事先で体調崩したらしいねんな。‥やから、心配で‥‥」 「クスッ、そうなんや。でも明日から休みやから逢いに行ったら?」 義行が意味ありげに笑う。 「ぅん‥‥けど、今日帰って来るって‥ゆうとったから‥‥」 「それで電話気にしてたンや。‥‥ほなっ、俺ら教室に戻るからゆっくりかけてや。」 「あぁ‥ありがと。そうさせてもらう。」 義行と徳一が教室に戻り保健室が静かになる。 溜め息を1つついて、携帯を手にする。 ‥大丈夫やろか? トゥルルー‥‥トゥルルー‥‥ 虚しく着信音だけが鳴り響く。 留守電に切り替わる前に電話をきる。 ‥まだ、病院なンやろか? 電源は入ってるよな‥   もう一度かけ直す。‥‥ やはり、着信音だけが鳴り響く。 ‥仕事中かな? ‥‥それやったらええンやけど‥  まさか、入院とか‥‥‥ 不安ばかりが募りはじめる。 ‥アイツの事やから、病院へも行かンと仕事してるンと違うよな。 ‥でも俺、昼に電話するってゆうたよな‥‥ ‥‥‥何やねん、何で繋がらへんねん‥‥
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