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気持ちを落ち着かせる為に煙草を手に喫煙所に行く。
煙草を吸い終え戻ろうとした時に携帯が鳴り響く。
「はい、‥」
「あぁ、俺。悪かったな、‥‥ちょっと寝てたみたいや‥」
声に朝の様な元気が無く辛くなってきてるのが手に取るようにわかる。
「俺こそ悪かったな。‥起こしてしもたンや。‥」
「ン?‥‥大丈夫や。心配させてごめんな。」
「‥そっ、‥それで医者はなんて。」
「‥あのや、言い難いンやけど‥‥今夜は‥いや、明日の約束アカンわ‥‥ごめんな‥‥」
いきなりの言葉に仕事中なのを忘れてしまう。
「ちょっ、‥何でなん。‥俺、‥‥イヤや‥」
「しゃぁないやん、‥‥インフルエンザなんやて‥」
「えっ、‥じゃぁ、熱は?」
「わからん。‥けど、かなりあるかもな‥‥
瞼閉じたら熱いから‥‥
やから、仕事切り上げて帰るし、‥心配せんでもええ、薬もちゃんともらったしな。
けど、‥ホンマ‥ごめん‥‥多分今週中は逢えンわ‥‥
お前に移したらアカンから‥‥」
取り敢えず帰って来る事に安堵しながらも、そんな身体で大丈夫なんかが気になる。そして、帰って来てからの事も‥‥
「けど、お前子供居ったンやろ? どうすんねん。子供に移すンとちゃうんか。」
「あぁ、せやな‥‥連絡いれとかなアカンな。‥まぁ、友達のとこにでも泊まれってゆうとくわ。‥‥」
かなり熱も高くしんどいのだろう。時折、深い溜め息が聞こえる。
「それで、今日の何時頃帰って来るんや? 俺、駅まで迎えに行くし。‥なんやったら、そのまんま俺ン家に泊まってや。
休みやから大丈夫やし‥‥その方が俺、‥」
「ええよ、‥‥移したないし‥‥」
「アホか! 何で遠慮すんねんな。‥一人やないか。俺やったら大丈夫や、ちゃんと予防接種受けたぁるから。‥
やから、ゆえや。何時の電車や。」
余りにも他人行儀で腹がたってくる。
「‥‥一裕‥‥アカンて‥‥」
「ウッサイ!! ゆえや!‥‥
何の為の俺やねん。‥傍に居りたいねん。‥
一人で寝さしとぅないねん。‥‥
しんどい時に一人にさせたないねん。‥‥
頼むから‥‥ゆうてや‥‥教えてや‥‥」
「そやけど、一裕‥‥」
「‥約束したやん。‥‥一番に俺ン家に帰って来るって‥‥
俺に逢うんが一番やって‥‥
嘘とちゃうンやろ?‥‥なぁ‥‥」
涙が出そうになるのを堪えながら、電話の向こう側のアイツに懇願する。
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