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義行はまだこの間の話を考えているようだ。
「何や、まだ結論出てへんのか?‥一緒に暮らしたらええやん。」
一通り終えた書類を片付けながら様子を伺う。
「ぅん‥まぁそうなんやけど‥‥おじさんも今大変そうやのにな‥‥僕が一緒に暮らしたら、負担が多くなるやんか。‥」
「負担? って‥‥」
心意の解らないでいる俺をチラリと見て、また視線をグランドに戻す。
「‥‥おじさんの彼氏の事やん‥‥」
「はぁ~? 何で関係あんねん。」
「‥僕のせいで上手い事いく事もアカン様になったりしたら‥‥って考えてしまうねん。」
「ハハハ、子供が心配する事やないやろ。それはオヤジさんサイドの話なんやから。」
少し恨めしそな顔をして俺を見る。
「おじさんと同じ事ゆうんや。」
「そうなん? けどオヤジさんがそうした方がええってゆうんやったら、何も問題無いんとちゃうんか。」
「やと、いいんやけど‥‥」と、深い溜め息をつく。
「実はちょっと引っ掛かってる事があんねん。‥」
「ン?」
「僕が一緒に暮らしてるとするやんか、‥きっとおじさんの彼氏も一緒に暮らしたいって思ってるはずやん‥‥」
「まぁな‥‥上手い事いったらそんな感じやろな。‥」
「だからな、もし彼氏の人が一緒に暮らしたとしてな‥‥何か嫌やろうなって‥‥‥」
そう言ってうつ向く。
「へっ? 何でなん。」俺は全然意味が解らずに変な声がでる。
「やって、‥おじさん出張多いやんか、彼氏の人月の半分以上一人になるやん。‥‥
息子だけならともかく、僕も居る事になるし‥‥
それに、おじさん忙しいから二人の時間も短いやろうし、二人きりにもなられへんのに‥‥息子やない僕の面倒までみらなアカンのって可哀想と思わへん?‥‥
考えてたら何か‥‥彼氏の人嫌やろうなって‥」
義行の言っている事もよく解るのだが、あんまり真剣にまだ会った事もないオヤジさんの彼氏の心配をするものだから、可笑しくなり思わず笑ってしまった。
「んな、アホな‥‥何でお前がそこまで心配せなアカンねん。」
深く考え過ぎない様に軽く答えるが、「‥‥そうやけど‥‥」と、小さく呟いてうつ向く。
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