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「しょうもない考え止めぇや。‥
あのな、相手かてそんな事百も承知でオヤジさんと付き合ってんやろうし、そんなとこまでお前が心配せんでもええンやで。‥‥
それに、好きな奴の子供やその子の彼氏や彼女やったら‥‥
まぁ、俺やったら可愛いてしゃぁないけどな‥。」
まだ会った事の無い貴史の子供と重なり、思わず本音が出てしまう。
「そんなもんかな‥‥」
「よっぽど性格が悪ない限りそうとちゃう。‥
まっ‥‥考え過ぎや。」
義行の頭をポンポンっと叩くように撫でながら、
「もっと単純に考えたらええねん。それより、なぁ、‥徳一にはまだ話してないンやろ?」
「‥ぅん。」
「アホやなぁ。‥そっちの心配せな。」
「そうやけど‥‥ゆうたらほぼ決定やんか。」
少し嬉しそに笑う。
「アハハ、まっ、そうやろな。‥‥
けどな、自分だけカヤの外やとまた後で難儀すんで。」
「そうやろなぁ‥‥」
返事をしながらグランドの徳一の事を考え出す。
ふとその時義行の頭の隅にいつもある想いがよぎる。‥‥
‥徳一は僕と四六時中一緒にいて幸せなんかな?‥
もしかしたら‥‥一時の感情や、ただ一番傍に居るから勘違いしてるンかな?‥‥
って‥‥‥
溜め息を1つついてまた、考えだす。
‥本当は、可愛い女の子と一緒がええンかな‥
って‥‥
窮屈に感じてへんやろか。‥‥
って‥‥
‥アカンな‥先生のネガティブが移ってしもた‥
余りに静かになった義行に
「ン? どうしたン?」と、声をかけ顔を覗き込む。
「えっ、いや別に‥」と、口ごもる。
「黙り込むなや。‥」
「‥‥なぁ、前にもゆうたけど先生も考えた事あるンやろ。
もし、自分とこんな関係や無かったら‥‥もっと違う‥今以上に幸せを感じる相手に出逢えてンやないかな。‥‥って‥」
「せやな‥‥ン‥考えた事は数えきれン位ある‥‥
けどな、しゃぁないやん。‥いくら考えても結局は‥‥‥好きなンやから‥
‥‥しゃぁないやん‥」
俺は自分自身に言い聞かす様に呟いた。
義行の問いに答えなんか無い事位二人とも痛い位わかっていた。
でも誰かに言って貰いたくて‥
自分と居る事が一番幸せや、と‥‥
いや、‥‥その言葉は、ホンマは相手から訊きたいンや‥‥
けどな、相手の事を考えれば考える程、‥‥
想えば想う程、‥‥
相手に訊けなくなる。‥
‥‥情けないくらいに‥‥‥‥
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