季節外れの‥‥2

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必要以上に話さない先生の事が知りたくなった。 「さっきの藤原徳一、僕は今西義行。アイツ  はサッカーやってて、多分しょっちゅう  保健室の世話になると思うンで」 「そんな感じやな、‥」 何故か口元が嬉しそうに思え胸が傷んだ。 ヤキモチやない。きっと誰かと重ねてる‥ そんな切ない感じ‥ …言葉につまる想い… 「‥先生? ‥今誰の事考えてン‥徳一が誰  かと似てるン?」 チラッと一瞥して、 「ホンマに君は鋭いな‥けどなぁ全然似て  へン」 自傷気味に笑い髪に手をやる。 諦めにも似たその姿が哀しく自分の将来のような気がした。 時折、感じている。このままこんな関係が続く訳がないと… その事を徳一に気付かせたくない。 「君‥義行君こそ俺と自分を重ねてるやろ  。アカンよ、君は君や、」 見透かされ驚いていると、 「今は悩まンでええねん。時期が来たらそ  の時は二人で考えたら? 君たちはきっと  大丈夫や。幸せになれる」 クシャクシャの笑顔で言われると本当に大丈夫な気がした。 スーパーに着くと、自転車に荷物を積んで徳一が待っている。 「おっそー!何してんねん。」 所在なくスーパーの前をクルクル回っている。 「危ないから止めときや」 「やって、暇やン。オヤジはトイレやしー。先に  帰ってええって。」 クスッと先生が笑い、ほなっまた学校でと言って店に入っていった。 僕は、挨拶だけして手土産を買う為に近くのケーキ屋に向かった。
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