季節外れの ‥‥19

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「徳一‥‥入るよ‥」 返事がなく物音も無い部屋に入ると、床で泣き疲れて眠ってしまった徳一がいた。‥ 膝を抱える様に丸くなって、親指を弛く咬んで‥‥ まるで小さな子供が泣き疲れたように‥‥ 目には涙の痕が付いていた。‥‥ ‥徳一、ごめんな‥‥ 胸を締め付けられ、思わず徳一を抱き起こし腕の中に抱き抱えた。 指でゆっくりと髪を梳く。‥‥ 腕の中に居る顔を見ながら ‥僕は、‥自分で思ってた以上に徳一の事が‥ 好きなんや‥‥離したない。‥ 眠ってしまった徳一に想いを伝える。 「なぁ徳一‥‥ホンマに好きなんやで‥ 僕が悪かったって事、よぉわかってる。‥徳一にあんな事ゆわしてしまう位傷付けてしもたンやから‥‥ ごめん‥‥ホンマにごめん‥‥許してもらえるなんてムシのいいこと考えてへん。‥ けどな‥僕の事嫌いになったとしても、一緒に居りたないとしても、‥‥ 僕には徳一だけやねん。‥ 僕は徳一だけのもんやから‥‥ やから‥もし、‥もしも、傍に居ってもええンやったら‥ 呼び出してや。‥‥ 僕は、どこに居っても、何をしてても、‥傍に‥ ‥‥傍に、‥逢いに来るから‥‥‥ ‥今日はこのまま帰るな。 もう、これ以上徳一を、哀しませたないから‥ ‥ごめんな。」 ゆっくりとベッドに寝かし僕は机の上にメモを残す。 最後にもう一度髪を梳き、キスしようとしたが、‥‥出来なかった。‥ そのまま耳元で「おやすみ。‥」と、囁き部屋のドアを締める。 外に出て灯りの灯る部屋を見上げて歩きだすが、帰ることも出来ずに、‥離れた場所からいつまでも眺めていた。
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