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僕の胸に顔を埋めるようにしてシャツで涙をガシガシ拭いた後、上をむき頬を紅くして
「‥訊くなや。‥恥ずかしぃ奴やな。‥」と‥、毒を吐く。
「そんな徳一も、可愛いいから‥
徳一は僕のもんやで、‥なぁ憶えてる‥‥約束。
僕だけを見てや。‥」
そう言って唇を舐める。徳一の身体がビクッと小さく震えため息が洩れる。
「‥ン、‥ふぁあ、‥‥アン、‥ン、」
そのまま唇を甘咬みすると、鼻にかかった色っぽい声がまるで嬌声の様に切なく訴えてくる。
「よぉ、‥ン、よし‥ゆきぃ‥‥やっ、ンふ、‥咬まんとってやァ、ァあ‥‥ンっ、ちゃんと‥‥ちゃ‥ンっ、と‥キスして‥やァンっ。‥」
素直になった徳一が滅多にしないおねだりをするのが嬉しくなる。
「ンっ、‥」と‥返事をしていつもの様に包みこむ様に、何度も交わす。
そして徳一の髪を梳きながら長い間、温かさを感じていた。
「なぁ、何で‥枕を抱き‥‥」
「うっさい!!」
言いかけた言葉を遮る。こんな時は最大限に照れている証拠だ。
「教えてや。‥僕、徳一の事何でも知りたい。」
「‥‥笑わへん?」
「ぅん、笑わへんよ。‥」
余りに念を押すので余計に気になってしまう。
「あのな、義行が居らん時な、‥いつも抱いてンねん。」
「何で‥?」
「抱いてたら‥‥義行の匂いがすんねん。
そしたら、凄い切なくなるンやけど‥‥それ以上に傍に居る様な気がして、
安心すんねん。‥やから、‥」
「そうなんや。‥ホンマ、可愛いい事して‥」そう言って頭を撫でると、僕を睨み付けた。
「///‥止めィや。‥」悪態を吐きながらも話を続ける。
「けどな、‥‥今も抱いてたんやけど‥いつもとちゃうねん。‥
凄い切ないンやけど‥‥情けないねん。‥
ほんで、‥‥涙しか出ぇへんかってん。‥
‥もう‥よし‥ゆきと‥‥アカンくなって‥
‥もう‥逢えんと‥思た。‥‥」
やっと、涙が止まった筈なのにまた溢れだす。
「泣かんとってや。‥僕、もっと大人になるから‥‥徳一を護れるくらいの大人になるから。‥なっ。」
「‥ぅん、‥でも俺を置いてきぼりにせんとって。
一緒に大人になろや。‥」
そう言って、きつく抱き締めあった。
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