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それから、二人揃ってテーブルにつき食事を始める。
「ごめん、今日はこんなんで。‥でも、三日間はずっと一緒に居って美味しいもん作るから。」
「俺も作るから、かわりばんこなっ。‥だから、帰らんとってや。」
「うん。」
まだこだわっているのが可笑しくなり、二人して笑いあうと冷めたお握りさえ温かく感じられる事に嬉しくなる。
「このメニューって、アレやんな。」徳一が嬉しそにゆう。
「そうや。‥憶えててくれたんや。」
「当たり前やン。初めて作ってくれたのやもん。」と、どや顔でゆう。
「あの頃より徳一‥‥泣き虫になったよな。
僕のせいやな。」
「ン?‥ちゃうよ。俺、昔からやし。」とボソッと呟く。
「そうなんや。‥やっぱり僕が思てる以上に可愛いいな。」
「可愛いないて。‥」
いつもと同じ会話が続くのが、‥その普通が嬉しかった。
まさか、たった一言の‥ほんの小さな妬きもちでもう逢えん様になる程の仲が壊れるなんて思いもしなかった。
‥きっとこれがおじさんのゆうてた事なんや。
『スレ違わんようにな。‥』
そんな事を思いながら、目の前の美味しそにお握りを頬張る徳一をみつめた。
その後も二人共途切れる事のないたわいも無い話をつづけ、二人でお風呂で騒ぎ、いつものように二人でベッドにもぐり込む。
けど、‥二人共眠れなくて、‥まだ話足りて無い気がして、‥‥
徳一の心にはまだ引っ掛かっている事が‥‥
それは、いつも以上に義行がおやじの事を訊いた事
「なぁ、‥起きてる?」
「うん。‥寝られへんの?」
徳一をゆっくりと抱き寄せる。
「ぅん、‥あのな、‥‥おやじからメールあったで。‥」
「ン。‥別にええよ。もう気にせぇへんから。‥」
「用件はな、帰れんようになった。‥って一言だけやった。」
「‥そっかぁ、‥」
僕は徳一を抱き締め直して顔をみる。
「‥先生の話‥‥は、嫌?」
「ン?、かまへんよ。‥やって、義行はずっと俺のもんで居てくれンやろ?
やったら、黙って先生の事考えられてるより、‥話してくれた方がええ。
妬きもちも妬きやすいし、我が儘も言いやすいやん。」と笑う。
「クスッ、‥妬いてくれるンや。ありがと。その我が儘‥‥全部僕が叶えてあげるな。」
クスクスと思い出し笑いをする僕を見て、口を尖らせた徳一が
「笑うなや。」と、呟く。
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