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熱で赤い頬に軽くキスを落として、
‥なぁ、貴史。‥早ょ治ってな。
俺、元気の無いお前見るの嫌や。‥
昔もそうやったやろ。‥‥
学生の頃、熱を出して。‥学校を休めばええものを、放課後に試合があるとかゆうて無理して出てきて、‥‥
‥‥ほんで、昼過ぎに倒れたンや‥‥
俺が保健室にお前を担いで連れていったンやで。‥
先生も居らんで、‥‥確か、俺が午後の授業サボってお前の手を握ってたんやで。‥‥
あの頃の俺は、看病の仕方なんか全然知らんかった。‥
ただ、‥‥手を握るしか出来へんかったのに、眼が醒めたお前は俺に‥
「ありがと。‥ごっつぅ、楽になった。‥
やっぱり、お前は凄いな。‥熱引いたやんか。」って、笑ったよな。‥‥
俺、‥何もしてへんのに。‥‥
そんな事を思い出しながら、汗で額にくっついた前髪を梳いていると、ゆっくりと瞼が開く。
「‥ぅん?‥一裕。‥‥ただいま。」そう言ってフワリと微笑む。
「‥ン、‥お帰り。貴史。‥‥」そう言って俺も微笑み返す。
クスッ、とアイツが悪戯っぽく笑い
「なっ、‥俺、約束守ったやろ?お前に逢うンが一番やって‥‥
お前の部屋に、一番に帰って来るって。‥」
「ぅん、‥ホンマやな。‥俺、待ってたんやで。‥
貴史の言葉信じて‥‥」
そう言って、寝ているアイツに重なる様に横になり毛布の上から抱き締めた。
そして、ゆっくりと唇を重ねる。‥
「アカンって、‥ホンマに伝染ってしまうやろ。」と、嬉しそに笑うもんだから、俺も嬉しくなりもっときつく抱き締めてしまう。‥
「こんなんで伝染らへん。‥‥
なぁ、気分はどうや?飯、食べれるか?」
「あぁ、気分はましや。‥
何かええ匂いするな。‥腹減ってきたわ。‥」
「そっか、良かった。‥鮭焼いたぁるから多分その匂いやろ。」
「ええねぇ。‥なんや、聞いただけで余計食欲湧いてきたな。」
いきなり起き上がろうとするのを制して、
「寝てたらええ。ここに持ってくるから‥」
「ん。‥けど、お前とテーブルで食べたいねん。」
そう言ってふらつく足でテーブルにつく。
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