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土鍋からお粥さんをよそいお茶碗を置く。
「熱いから気ィ付けてな。」
「あぁ、ありがと。」
「‥‥‥」
食べ始めたアイツを見て黙り込んだ俺に
「何や、‥?不満気な顔して‥‥‥」
「えっ?‥アッ、ちゃう‥‥前みたいに‥‥」
「ん?‥前?‥あぁ、そやなぁ。‥」
そう言って俺の前にお茶碗とスプーンを差し出す。
「ほなっ、お願いするわ。‥‥あーん。」と、大きな口を開ける。
「///‥ぅん、熱いから‥」
一口すくってフゥフゥとしプリンと同じようにゆっくりと食べさせる。
その度に、「旨っ。」と笑うアイツの口元をナプキンで拭う。
‥なんでお前は俺の考えてる事こんなに分かるねん。‥‥
そんな事を考えていると嬉しくて、つい俺も笑ってしまう。
ふと、眼が合い
「何や、嬉しそうやな。」
「えっ?‥まぁ、‥その‥‥ごめん。お前、しんどいのにな嬉しそな顔して‥‥
でもな、貴史が傍に居るだけで俺、‥幸せやねん。
やから、‥つい‥‥‥」
と、項垂れてしまう。そんな俺にアイツは優しく笑って、
「そっか、‥‥笑ててや。俺、一裕の笑顔が見たてここに一番に帰って来てるンやもんな。
俺、一裕の笑顔が好きや。‥
何かな、‥ホッとすんねん。」と、照れ臭さそに笑う。
元々少食な質なのにお茶碗に軽く一杯と、林檎の擦ったものを食べ‥今はグレープフルーツのゼリーもたべている。
「食欲あるみたいでホッとしたわ。」
「一裕が食べさしてくれるから、飯が旨いねん。」
「‥ぁ、アホな事を。‥ちゃんと薬飲むンやで。」
「はい、はい。」
「クスッ、返事は一回。」
「は~い。」
「短く。」
「ほいっ。」
「クスクス、子供か。‥」
「じゃぁ、お前はオカンか。」
何故か意味の無いしょうもない事で笑い合って幸せを感じてしまう。
薬を飲むのを確認して後片付けをし始める。
テーブルではまだアイツが煙草を吹かして俺を見つめている。‥
振り返ると、眼を細めて笑う。
俺も自然と顔がほころぶ。
‥幸せって、こんな事なんや。
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