季節外れの‥‥3

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二人を見送って、 ‥俺もあんな時あったなぁ。いつも寄り道  して、アホな話して‥ ぼんやり下を向いて入り口の方に歩いていると、携帯片手の男とぶつかった。 「イタッ! 何処見てンねん!」 「すいません。」 頭を下げて謝る。 「気ィ付けなアカンで‥」 はい、と小さく言いため息をつく。 まぁ‥ぼんやりしてたンは俺やし 気ィ付けな。 カゴを持ち中へ入ると横から腕を掴まれる。 「‥痛っ‥‥ウワッ!」 余りの力強さに身体がよろける。 「‥藤原‥‥やんなぁ‥‥」 懐かしい声。 「‥いっ‥井本?‥」 後に何の言葉も続かず、腕を掴まれたまま二人突っ立ってた。 平日の昼下りのスーパーには不似合いな光景で、誰しもが怪訝そに横目に見て通り過ぎる。 目をそらすと消えてしまいそで     …目が離せない。 声を出すと夢のように消えてしまいそで     …何も言えない。 動くと全てが崩れ落ちてしまいそで     …動けない。 心の中じゃ   叫んでるのに…    ………逢いたかった……… ……今も…好きやねん………
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