季節外れの ‥‥20

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時間も忘れて日向ぼっこをして、笑いあった。 「なぁ、昼飯寿司でもええか?」 「‥?」 「ほらぁー、一緒に俺ン家で飯食うやろ?俺、アイツ等に出前頼んどくってゆうたし。」 「そやったな。‥別に俺、何でもええで。」 不安気に揺れる瞳を見て 「クスッ、あのな、人ってゆうンは同じ時に同じ物食った方が仲良ぉなれるんやで。‥」 「ン、そやな‥‥」 曖昧な返事をして黙りこむ俺に、珍しく自信無さ気なアイツが肩に頭を預ける。 「なぁ‥‥嫌なんか?‥‥もしかして、俺と一緒になんの‥‥ 後悔してんか?‥‥」 「ううん、ちゃうよ。」 ハッキリと否定して、いつもと反対に俺がアイツの髪を梳く。 「ンフフ、‥俺、少しも後悔なんかしてへんで。 ましてや、嫌でもないから。」 「ン、けどな‥‥なンやろか。‥気になるねん。‥ 正直な話するとな、‥‥その‥俺、お前の人生滅茶苦茶にしたんやないか。って‥‥」 「はぁー?何でやねん。」 俺は鼻で弾く様に笑い飛ばした。 けど横を見ると不安気に虚ろな瞳のまんま、俺の肩に寄りかかっている。 「ンフフ、‥いつもの俺様や無いんやな。」そう呟いてから一人言の様に話し出す。 「俺、‥確かにお前に振り回されて来たと思う。‥ ‥ずっと‥‥初めて逢った時から‥‥ やって、‥俺、お前に捕らえられたまんまやからな。 ‥お前の全てに俺は生きてきたから‥‥ けどな‥それが、案外居心地がええねんな。 俺、‥お前の背中ばっか追いかけてた、‥けど、でもそれが‥‥ホンマに居心地良かってん。‥」 ボソボソと話す俺の隣で黙って眼を閉じている。 「時々な、お前が振り返って俺を待っててくれる。 その瞬間が好きやった。‥‥ お前の瞳に俺しか映ってなかった。 ‥‥俺だけやった。 それで、隣に居りたいって思た。 隣に居れる様になったらなったで、 ‥ずっと一緒に居りたいって思た。 そんで、その気持ちは‥‥好きって気ィついた。 ただの友達やなく、‥‥」 アイツの様子に変化が無いようなので話を続ける。 「何てゆうたらお前に伝わるんかわからへん。‥けど、 お前は俺に、告白するチャンスをくれた。 お前の事を、好きってゆうタイミングを。 ‥ホンマに嬉しかった。 やからな、滅茶苦茶にされたンとちゃうから。」 そう言って少し抱き寄せる。
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