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貴史の家までの道程をまるでウエディングロードの様に感じて、照れ臭くそして、半端なく緊張していて‥‥
つい、‥‥アイツの少し後ろを黙りコクったまんま歩いていた。
‥はぁー、‥
口からは溜め息ばかりの俯きガチな俺に振り返って
「クスッ、早ょおー!置いてくで。」と、楽しぃそに急かす。
「ぁ、‥ぅん。」
俺は小走りでアイツの横に並ぶ。
「なぁ、‥ホンマにプリンで良かったンか?」
「あぁ、俺が好きやからええねん。」
「何でやねん。お前の為とちゃうで。子供らのお土産やんか。‥」
「ええねんて。アイツも案外プリン好っきやし、」
そうゆうて歩きだしたアイツを横目に「ホンマなんやろな。‥」と、小さい声で愚痴ると「何やねん。言いたい事あんやったら、大きい声でゆうて。」と微笑む。
でも、そんなやり取りが不思議と緊張を解していくから俺は安心してアイツと肩を並べて歩いていた。
「ここや。」
短い一言で家に招かれる。
俺は大きく深呼吸をする。
‥いよいよや。
と、腹を括った時に
「なぁ、10分経ったら入っておいでや。先にアイツ等に一寸話しとくし。‥
その方が入りやすいやろ?」
勝手に決めて中にいこうとするのを
「ちょっ、待てや。そんなん無理。出来へん。」
「大丈夫やって。‥じゃぁ、俺が迎えに来るから。なっ。‥それでないとアイツ等、飛んできて大変やで。」
「ええー!それも無理。‥‥じゃ 、絶対にお前が出てきてや。」
「あぁ。」
「絶対にやで。」
何かを企む様な眼差しのアイツに念を入れる。
「わかったって。‥もう、しつこいなぁ。」
苦笑いしながら俺に軽くキスをする。
「///‥待ってるから、俺からよぉ入っていかんから。‥‥ちゃんと出迎えてや。‥」
「あぁ。わかってるって。」
そうゆうて片手をあげて家に入っていった。
玄関先に置いてけぼりの俺は中の様子を耳をそばだてて伺った。
「ただいま。」
その声を合図にバタバタと足音が響く。
「ちょっ、お前ら!シィーー。黙ってリビングに行こか。」
唇に人指し指 を立ててシィーと、内緒事の様に声を潜める。
「何でオヤジ一人なん?お客さん居るんとちゃうん?」
犬の様にまとわりつく二人を引き連れてリビングに行く。
「お前らに会わせたい人が居るねん、‥‥けどな。」
顔を真っ赤にして口火をきる。
「何処に?なぁ、なぁ、オヤジ。」
「まぁまぁ、徳一落ち着きや。」
義行が焦る徳一を止めに入る。
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