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照れた様に笑う貴史が「そうや。」と自慢気に答える。
「あのな、ムッチャ恥ずかしがり屋で人見知りやから‥‥今、外で待たしてんねんけど‥」
言いかけたのを遮る様に
「おじさん!外は寒いのにアカンやんか。早ょ、中に入ってもろてや。」
「まぁまぁ、話は最後まで聞きぃや。
お前ら二人、一寸部屋に居っててくれへんか。」
「え゙ー!会わしてくれへんの?」
「紹介するけど、先にお母さんに挨拶したいってゆうし、‥‥それにな、手紙も渡さなアカンし‥‥
やから‥俺らが仏間に居る間静かにしてて欲しいねん。
話終わったら呼ぶから、‥‥それから一緒に飯にしよや。なっ。」
グズグス言いながらも渋々「わかった。」と返事をする。
「あっ、一寸。これ、お母さんからの手紙や。‥‥
部屋で読みや。」
「ぅん‥早ょ呼んでや。」
玄関先の人影を伺い静かに二人は部屋に行く。
不安ながらも手紙を読み始める。
徳一君へ。
お父さんの大事な人と会えたとき。
表にはそう書いてあった。
徳一君、どう?お父さんの恋人に会えた?
それとも、これからなんかな?
私も会った事も話した事も無いから気になるンやけど。‥
きっと、ええ人やで。
お父さん、スッゴく照れてはるんやろうね。
でも、受け入れて認めてあげてな。お父さんの事理解してあげて。
私の、‥ううん、徳一の為に今日まで頑張ってきたんやから。
だから、仲良くしてな。
多分、徳一にも好きな人が出来たら解ると思う。誰かを好きになって否定なんかされるって事は、どんなにか辛い事か。
お父さんは貴方が思っている以上に愛情の深い人やねん。
だから、徳一。不安に思う事なんか何も無い。
お父さんは今まで貴方を優先して、貴方を一番に考えてきたと思う。‥‥やから‥今度はお父さんの気持ち優先してあげて。
優しいお父さんの好きな人と仲良く
お願い。
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