季節外れの ‥‥21

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取り皿と箸を配ってたアイツが、 「ン? あぁ前のヤツかいな。アイツはアカン。先生の資格、‥自覚も無いわ。」 「‥? じゃぁ、教育委員会に怒鳴り込ンだのは、‥お前なん?」と、聞くとドヤ顔で 「そうや。」と答える。 「ハァー、まっ、お前らしいけどな。」 「せやろ。‥けどまぁ、結果オーライや。やってええ先生きたやん。なっ。」 うん、うんと二人が頷く。 「でもなぁ、生徒の親と、‥‥それも男同士でこんな関係やなんて‥‥問題になるンやろな。‥」 「ン? 大丈夫や。やって、校長も知ってるからな。」 「え゙ぇ゙ーー!!」 「やって、徳一と義行の相談とか色々と話してるし、 お前の事も聞いてるし、‥」 と、涼しい顔で答える。 頭を抱えた俺はため息と一緒に言葉が出る。 「ハァー、なんやねん。‥ホンマに変わってないな。 お前ってヤツは‥‥‥」 「そっかぁ?」と、昔と変わらない笑顔を浮かべる。 俺も思わず微笑み返す。 「いっつもや、‥‥いっつも俺はお前にドキドキさせられっぱなしや。 バイクで事故った時も、バイト先に邪魔しに来た時も、 いきなり、‥‥大学へ行けって‥‥ゆうた時もや‥‥」小さく呟き 「わかってんねんで、頭じゃあ。‥‥ 全部俺‥の事、心配してくれた事やって、‥‥ けど、けどな、‥‥さよならは、‥辛い‥‥ねん、‥ もう二度と逢えンくなるようで。‥」 ネガティブな俺の考えを軽くいなす様にアイツが、 「もう二度とゆわへんって。‥約束したやろ。 それに一応は結果オーライって事でええやんか。‥なっ。」 「ぅん。‥」 俺を宥めるアイツの言葉に二人は少し羨ましく思えた。 「まっ、飯にしよや。」 話題が暗い方にいかないようわざと軽く言い放つ。 義行は徳一に寿司を取りそれを嬉しそに食べる。その様子を見て、 ‥幸せそやな。 俺もアイツの皿を取り 「‥やっぱり今でも最初は玉子なん? 」 聞きながら皿に取り、イカ、鮪、鯛等を盛り付ける。 「あぁ、‥憶えてくれてたんや。」 「ぅん。やって初めてのバイトの金で俺、奢ってやったやん。」 「そやったな。‥けど、足らんかったから俺も金出したやん。」と笑う。 「それはやな、お前が回ってへん寿司屋がええってゆうたからやん。」 「そやそや、あん時のお前の顔。‥半泣きやったな。」 そう言って懐かし気に眼を細める。
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