季節外れの‥‥3

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(このまんま逢えんようにナンの嫌やねん) 俺もそうやけど‥ 「お前には家族がおるんやろ、アカンで‥」 手を振り払い出来る限りの笑顔で言う。 「ちゃ‥ちゃうねん!いや‥そうやけど聞  いて欲しいねん。」 後には退けない、切羽詰まった顔でもう一度手を握りしめる。 ‥ソンなんされたら俺‥‥ 「‥チッ!‥携帯番号はーー!!」 「大きな声出すなや‥」 条件反射で身体がビクッとなる。 「はょー! ちゃっちゃとゆえや!」 「***-****-****」 ‥アカン、ゆうてしもた‥‥ 「アハハ‥全然変わってへんな。ビクつかん  でもええやン。絶対に連絡するから」 「俺は‥出ぇへんから‥」 俯いてゆうと、 「かまへんよ。‥俺がしたいからすんねん  だから気にせんでええ‥」 目の前で電話をかけだす。俺のポケットで着信音が鳴り、留守電に切り替わる。 「藤原‥今日は逢えて嬉しかった。この番  号、登録しといてや‥夢みたいに思いた  ないねん。やから、絶対に消したらアカン  よ。ほなっ、またかけるから‥」 電話を切りコッチを向いてもう一度同じ言葉を繰り返す。 逢えて嬉しかった。じゃあまたかけるから。 俺は1人きりになり、缶コーヒーに口をつける。 「‥変わってへンのはお前の方や。いっつ  も強引で自分勝手で‥それやのに‥」 留守電の声を訊く。 (今日は逢えて嬉しかった‥) 俺もや‥ホンマに嬉しかった (夢みたいに思いたないねん‥) 夢やない。お前の声が残ってる。 「‥俺の事考えてくれてる。」 ‥ネガティブな考えをせんように‥  ナンでこんな優しいトーンで話すねんなぁ‥ コーヒーが冷たくなるまでずっと聞きたかった声を、何度も訊いていた。
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