季節外れの ‥‥21

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ゆっくりと俺の前髪をなぞり頬に手を当てる。 俺は沁々と幸せを感じて胸が一杯になりながら、‥今この瞬間に感謝した。 貴史と徳一、義行に俺‥‥四人で一緒に家族に成れる気がして、‥ 不安も幸せも喜びも悲しみも、全て引っ括めて。‥ そして、離れていた12年間も無駄じゃ無かったと‥‥ 例え、時が俺達を、離れ離れにしたとしても、‥ 色々な出来事が俺達を引き離そうとしたとしても、‥ 何もかも乗り越えていける気がした。 俺は食べる事も忘れて三人を眺めた。 義行は徳一の世話をやき、徳一は義行に甘える。普段からは想像出来ない位だ。 それを見て貴史がチャチャを入れる。 家族の団欒‥‥‥ ‥‥そっかぁ、いっつもこんな感じなんや。 何か俺‥義行やないけど妬きもち妬いてしまうわ。‥ アイツの顔が俺の知らない親の顔をしている。徳一が可愛いくて仕方の無い顔。 ‥徳一もホンマにファザコンやし、‥想像以上やん。 ええなぁ、‥ってまぁアイツの子供やけど、‥ やっぱ、なぁ、‥‥ そんなつまらない考えをしている事に気付き、 「また、しょうもない事考えてンやろ。」 俺の肩を抱き寄せて囁く。 「‥‥‥‥‥。」 黙ったままの俺の耳元に 「約束‥‥憶えてるよな。」と、小さく呟く。 「‥? えっ?」なんの事かわからない俺に 「あぁもう、ホンマにボォーっとしてからに。‥ この後の約束や。」 「‥???」 俺と同じように二人も話が見えずアイツを見る。 「‥ゆうてもええンか?」と、ニヤッと笑う口元を見て思い出した。 「あっ!/// アホか!ゆうなや。」 「ハハハ、ええやんか。もう公認なんやし。‥ どうせコイツら出掛けるってゆうとったやん。なぁ。」 いきなり話をふられて驚いた二人が 「えっ? ちゃうやん。‥‥先生の相手が気になるから義行の部屋にいこかなって相談してただけやし‥‥」 と、口ごもる。 「先生の相手が体調悪いってゆうてたから、徳一とお見舞いにいこかなって、‥」 「そうそう、それやのに、‥‥親父はまた俺等に何も言わんと、‥ 病気やったら知らしてや。」 本気で心配してアイツの顔を見る。 少し照れ臭いのか頭をかいて 「まぁまぁ、ええやんか。今回は一人や無かったし、ちゃんと看病してもろたし、‥‥それに、‥何かマジでいややん。」 「何がやねん。」 「お前ら来たら、‥‥邪魔やんか。」俺の方を向いて同意を求める。
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