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「ん。‥せやよな。なら、ええやろ? 一緒に‥‥、ずっとおあずけくろてたんやで。‥‥
そんなに頑なに拒まれたら、‥‥
辛そな顔されたら‥‥俺、情けなくなって‥‥切ないやん。」
そう俺の頭を子供の様にポンポンとたたく様に撫でる。
そんな俺達の事を二人は映画を見る様にに見いいる。
俺はそんな事も気付かないまま貴史の瞳を見る。
「ゴメン、‥そんなんやないんや。‥‥ただ、‥‥ちょっとだけ、‥‥恥ずかしいねん。」
「何で?」
「やって、‥‥好きや、って言葉に出来て微笑んでもらえて、‥‥抱き締めてももらえる。
今までじゃぁ、考えられへん事やんか。‥
なんか、‥もういっぱいいっぱいで。‥‥」
「クスッ、‥アホやなぁ、‥何も無理に考えんでもええやろ。‥‥これからは一人で考えるな。‥
何でも口に出したらええんやで。‥なっ。‥」
「ぅん。‥」
素直に返事してアイツの肩に頭を預ける。
「なんやおじさんえらい優しいな。」
「俺、初めてみた、‥オヤジの顔や無い。‥」
「そやな、‥‥けど、幸せそやな。‥」
「ぅん。‥オヤジ、ずっと待ってたもんな。
ええなぁ、‥先生も幸せそや。」
そう笑いかけると、
「幸せに決まってるよ。‥‥やって、二人の世界に入ってしもてる。
僕等なんか眼に入ってないやん。
徳一、このお寿司部屋で食べる?」
徳一と義行の言葉さえも耳に入らないまま、貴史の肩に持たれかけ眼をとじると、アイツは唇に優しくキスを落とす。
「‥ンっ、‥」
「何も心配いらんから。‥‥」
そうゆうて俺の前髪をかきあげおでこにもキスを落とす。‥‥
そっと、桶をもち上に上がろうとする二人にアイツは、
「 どこ行くねん。一緒にってゆうたやろ。」と、怒りだす。
「やって、オヤジ等二人の世界に入ってしもてるやん。‥俺等邪魔やろ。」
「アホか。邪魔なんはこの後じゃ。
‥‥今はまだ大丈夫や。‥我慢できるわ。」
「何、その屁理屈は。」
「おじさん、‥先生かって照れてはるやん。‥
僕らが居らん方が先生もええやろ。」
俺の方を見るが、
「アカン。いっつも俺の前でイチャイチャしくさって、‥‥今度はお前等に見せつける番じゃ。
なっ、一裕。‥‥」
そう問いかけられてまたキスをされるが、紅い顔の俺は幸せで二人から何をゆわれてもただ、‥‥
微笑んで貴史に寄りかかったままだった。
「先生、笑ろてんと。‥‥そのほうがええやろ?」
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