季節外れの ‥‥21

14/16
前へ
/343ページ
次へ
「ん。‥せやよな。なら、ええやろ? 一緒に‥‥、ずっとおあずけくろてたんやで。‥‥ そんなに頑なに拒まれたら、‥‥ 辛そな顔されたら‥‥俺、情けなくなって‥‥切ないやん。」 そう俺の頭を子供の様にポンポンとたたく様に撫でる。 そんな俺達の事を二人は映画を見る様にに見いいる。 俺はそんな事も気付かないまま貴史の瞳を見る。 「ゴメン、‥そんなんやないんや。‥‥ただ、‥‥ちょっとだけ、‥‥恥ずかしいねん。」 「何で?」 「やって、‥‥好きや、って言葉に出来て微笑んでもらえて、‥‥抱き締めてももらえる。 今までじゃぁ、考えられへん事やんか。‥ なんか、‥もういっぱいいっぱいで。‥‥」 「クスッ、‥アホやなぁ、‥何も無理に考えんでもええやろ。‥‥これからは一人で考えるな。‥ 何でも口に出したらええんやで。‥なっ。‥」 「ぅん。‥」 素直に返事してアイツの肩に頭を預ける。 「なんやおじさんえらい優しいな。」 「俺、初めてみた、‥オヤジの顔や無い。‥」 「そやな、‥‥けど、幸せそやな。‥」 「ぅん。‥オヤジ、ずっと待ってたもんな。 ええなぁ、‥先生も幸せそや。」 そう笑いかけると、 「幸せに決まってるよ。‥‥やって、二人の世界に入ってしもてる。 僕等なんか眼に入ってないやん。 徳一、このお寿司部屋で食べる?」 徳一と義行の言葉さえも耳に入らないまま、貴史の肩に持たれかけ眼をとじると、アイツは唇に優しくキスを落とす。 「‥ンっ、‥」 「何も心配いらんから。‥‥」 そうゆうて俺の前髪をかきあげおでこにもキスを落とす。‥‥ そっと、桶をもち上に上がろうとする二人にアイツは、 「 どこ行くねん。一緒にってゆうたやろ。」と、怒りだす。 「やって、オヤジ等二人の世界に入ってしもてるやん。‥俺等邪魔やろ。」 「アホか。邪魔なんはこの後じゃ。 ‥‥今はまだ大丈夫や。‥我慢できるわ。」 「何、その屁理屈は。」 「おじさん、‥先生かって照れてはるやん。‥ 僕らが居らん方が先生もええやろ。」 俺の方を見るが、 「アカン。いっつも俺の前でイチャイチャしくさって、‥‥今度はお前等に見せつける番じゃ。 なっ、一裕。‥‥」 そう問いかけられてまたキスをされるが、紅い顔の俺は幸せで二人から何をゆわれてもただ、‥‥ 微笑んで貴史に寄りかかったままだった。 「先生、笑ろてんと。‥‥そのほうがええやろ?」
/343ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加