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「なぁ、先生は食べへんの?」
徳一が二個目を狙って聞いてくる。
「あぁ、‥俺甘いのはチョッとな、‥食べてもええで。」
「ありがと!‥」
「こらっ、欲しいンやったら僕のあげるから先生の分取りなや。」
「ええー!」
「今、食べへんかっても後でおじさんと食べるから‥‥後で僕がこうてあげるから、なっ。」
「ホンマに?‥約束やで。」
「うん。」
そんな他愛もない会話の中、和やかな筈なのに苛立ちの隠せない不機嫌なアイツ。
苛々とせっかちに煙草を消しながら
「お前等ええ加減に出掛けろや!」
怒鳴り付けられても平然とした顔の二人が
「軍資金がないから映画も見られへん。」
チッ、と舌打ちして財布から
「ほらっ‥」と万札を一枚。
「やったね。親父ムッチャ気前ええやんか。‥先生の前やから格好つけてて、‥‥後で返せへんで。」
「アホか。俺はいつでも格好ええねん。なぁ、‥」
「えっ?‥///‥うん。」
「先生も照れてんと、‥親父甘やかしたらアカンで。言いかえさな。」
「えっ、‥でもや。‥///」
アイツの顔を見て照れてしまう。
「ええ加減にせぇ。一裕をからかうな。」
「クスクス、おじさん、やっぱ優しいなぁ。」
「じゃかましいわ。早よ行け!」
「「はーい。」」
二階に逃げる様に上がり上着を羽織る。
「ほなっ、行ってくるで。」と声をかけられ、
「あぁ、気ィつけてな。‥‥帰りは遅てもええからな。」 とアイツがゆう。
「心配せんでも帰る前にはちゃんと連絡いれるから。」
「せやな、そうでないと先生も大変やしな。」
含み笑いした義行が俺を見る。
「////‥あっ、アホかぁー!」
「クスクス、まぁまぁ怒らんと、‥‥なぁ親父晩飯どうすんねんな。なんかこうてこよか?」
アイツはリビングに居たまんま返事をする。
「そやな、適当でええで。なんやったらホカ弁でもええし。」
「アカンって、先生も食べてくんやろ?」
「えっ?」
「当たり前やんな。先生。」
「せや、先生泊まったら。俺等気にせぇへんし。」
真顔で徳一にゆわれて戸惑うが平静さを保って、
「そんなん無理や。」
とかろうじて答える。
「クスクス、気にせんでも俺義行の所に泊まるで。」
「アホな事ゆうてんと早ょいけや。時間が勿体無いやろが。」
アイツが怒鳴る。
「ハイハイ、‥じゃあね、先生親父を宜しく頼むな。」
「///‥うん。‥‥その‥なんや‥‥ありがとな。無理きいてくれて。‥」
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