季節外れの‥‥3

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オヤジが俺に怒ってる。それも電話を掛けただけやのに‥ こんなん初めてかも知れん。 どんな忙しい時でも、笑ってくれてたのに‥ 「どうしよ、なぁ俺、怒らす事ゆうた?」 「いや、ゆうて無いとおもうよ。」 2階からバァンッと、大きな音が響く。 徳一の顔色が真っ青になる。 ソッと肩を抱き寄せて背中をさする。 「大丈夫やから、コーヒー淹れて、呼びにイコや  。きっと理由があるから‥僕が訊いたる  から」 「‥うん‥誰かと会っとたんかな‥」 「何でそう思うン?」 「やって‥俺、前にオヤジの日記見たことあ  んもん‥」 「悪趣味な事して‥アカンよ。」 「もしかしたら、見たのバレてるンかな‥  どうしよ」 頭をポンッと叩き、訊かなわからんやろ 言ってキッチンに入る。 ポコポコッ‥ポコ‥‥ 手際よくコーヒーカップをテーブルに並べてから、ケーキの箱を冷蔵庫から取り出す。 「僕がおじさん呼んでくるな」 心配そうにコッチを見るので、大丈夫やから と笑って呼びに行く。 ‥コンコンッ‥‥ 「おじさん? コーヒー淹れたから一緒にどうか  な?」 中から返事がない。もう一度ドアをノックする。 「‥ナンやねん‥」不機嫌そな声。 「徳一が心配してんねん。お願いやから下  に下りてきてや。」
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