季節外れの‥‥3

7/16

44人が本棚に入れています
本棚に追加
/343ページ
ガチャッとドアが開き、そのまま、下に下りて行く。 不機嫌なのはそのままだが、やっぱり徳一が可愛いのとみえてキッチンに入ると直ぐに 「のり君‥ゴメン、八つ当たりして‥」 「俺も、ゴメン‥オヤジの事全然考えんで」 頭をクシャッとして 「まだ親の心配する歳やないわ」 おじさんの凄いトコは、何があっても徳一優先で自分を抑えてる。 徳一も強度のファザコンというのだろうか、多分僕はこの人に勝て無いと思う。 「なぁ、好きナン選んでや。オヤジどれする?」 箱を開けて中身を出す。 目を細めて微笑み、 「後でええよ、徳一決めてンやろ? 先に取  り。義行も気ィ遣こたらアカンよ。息子と  おんなじやと思てねんで‥」 そう言って、フワッと笑った。 いつも徳一に向けているのと同じ優しい笑顔を僕は初めて見た。 何もかも見透かされている気がする。 ‥やっぱりかなわへんわ 「なぁ‥お母さんの分もあるやろか? 」 「ありますよ。持っていって下さい。」 お皿にのせて仏壇に持っていく。 お花が新しく換えてある。 ‥義行か、ホンマによう気の付く子やで。  先輩、ええ子やろ。何よりのり君を大事  に思てくれてる。   そう呟き座る。 ‥さっきな…藤原におうたンよ、アイツ格好よ  うなってたわ。  逢いたかった ってゆうてくれて、  嬉しかったわぁ…  俺、アイツと昔みたいに逢ってもええンや  ろか。友達としてしかアカンのかな…   たまに一緒に酒飲む位やったらかまへん  かな? 「オヤジ! コーヒー冷めンでー」 「おぅー、今行く‥」 ‥なぁ先輩。電話する位ええよな‥ 写真が微笑ンで見えた。
/343ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加