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ガチャッとドアが開き、そのまま、下に下りて行く。
不機嫌なのはそのままだが、やっぱり徳一が可愛いのとみえてキッチンに入ると直ぐに
「のり君‥ゴメン、八つ当たりして‥」
「俺も、ゴメン‥オヤジの事全然考えんで」
頭をクシャッとして
「まだ親の心配する歳やないわ」
おじさんの凄いトコは、何があっても徳一優先で自分を抑えてる。
徳一も強度のファザコンというのだろうか、多分僕はこの人に勝て無いと思う。
「なぁ、好きナン選んでや。オヤジどれする?」
箱を開けて中身を出す。
目を細めて微笑み、
「後でええよ、徳一決めてンやろ? 先に取
り。義行も気ィ遣こたらアカンよ。息子と
おんなじやと思てねんで‥」
そう言って、フワッと笑った。
いつも徳一に向けているのと同じ優しい笑顔を僕は初めて見た。
何もかも見透かされている気がする。
‥やっぱりかなわへんわ
「なぁ‥お母さんの分もあるやろか? 」
「ありますよ。持っていって下さい。」
お皿にのせて仏壇に持っていく。
お花が新しく換えてある。
‥義行か、ホンマによう気の付く子やで。
先輩、ええ子やろ。何よりのり君を大事
に思てくれてる。
そう呟き座る。
‥さっきな…藤原におうたンよ、アイツ格好よ
うなってたわ。
逢いたかった ってゆうてくれて、
嬉しかったわぁ…
俺、アイツと昔みたいに逢ってもええンや
ろか。友達としてしかアカンのかな…
たまに一緒に酒飲む位やったらかまへん
かな?
「オヤジ! コーヒー冷めンでー」
「おぅー、今行く‥」
‥なぁ先輩。電話する位ええよな‥
写真が微笑ンで見えた。
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