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リビングにいくと、ミルク多目のコーヒーとケーキが用意されていた。
二人共待っていてくれたので礼を言う。
「アッ、義行ありがとな。花、綺麗にして
くれたンやな。」
「いえいえ、勝手知ったる家やから。」
と笑う。
冗談混じりに、
「ええ嫁さんにナンで、俺欲しいな。」
「なっ‥!アカンで!!義行は俺のやー!」
徳一が叫ぶ。その後みるみる顔が真っ赤になって挙動不審になる。
義行はそれを見て、笑いを堪えるのに必死だ。
「‥笑わンとって‥」と、口を尖らす。
‥俺今、幸せやなぁ〓。
しみじみと思う。
‥アイツ、1人なんやろか。
昔みたいに隅で膝抱えて俯いてないやろ
か?
震えそうな自分を抱き締めて…
俺を怨んでるやろか…
それとも…他の誰かに想いを……
急に黙り込んだ俺に二人は心配そに、
「どないしたン?」
「ナンもない…ちょっと思いだしただけや。
今度は1週間位家空けるから、義行‥‥
頼んどくな。」
面食らった二人に、信用してンで‥とだけ言って仕事の準備に取り掛かった。
いつものカバンに着替えを詰め込み、カメラのチェックをする。手帳を見て電車の時間、打ち合わせの時間等確認してから、変更がないかメールをみる。
発信履歴を開き登録を確認する。《藤原》
‥かけてもええやンな‥
下からはチキンライスの匂いと楽しげな声が聞こえてくる。
‥家からやと又、ヘンに勘繰るか‥
考えた挙げ句、早い目に出掛ける事にした。
下にいき、キッチンに声をかける。
「ほなっ、行ってくんで!徳一後は任した
から‥義行も頼むな」
慌てて二人が飛び出してきて、
「エッ、食べていかへんの?」
「ケーキ食べたやン。もう無理、入らへん」
行ってきます。とだけ言い足早に家をでる。
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