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ジャァァ───ッ
熱めのシャワーで頭を洗い流すと気分が少し軽くなる。
ゆっくり湯船に浸かりぼんやり今日を振り返る。
中々のええ1日──‥
そう思える。単調な日々の中で、アイツに逢えた だけやのに‥
掴まれた左の手首を見る。うっすらと紅く色づき夢じゃない事を物語る。
改めて肌が白いと恥ずかしくなる。
ソッと自分の手を重ねゆっくりと力を込めていくと、感覚が甦る。
切なく胸の奥が傷む。と、同時に薄く開けた口から吐息が洩れる。
「‥ンッ‥ン‥ハアッ‥‥」
30になったとはいえ、人並みに性欲はあるつもりなのだが、日々の暮らしの忙しさと疲れからその気が全くなくなっていた。
殆ど自分で枯れ果てた気がしていたのに
‥アカンッ‥ア‥思い出すだけで‥ウンッ‥
自分の手を離し、キツく掴まれた腕を見る。二の腕には手首よりはっきりと紅く痕が点いている。指の痕までもわかるくらいに
‥どんなけの力やねん
腕の痕を指でなぞり自分を抱き締めるかの様に左腕を掴む‥‥
身体の芯から痺れるような熱い塊が湧き出てくる。
‥ンッウ‥イッ‥ア‥‥
知らず知らず自分自身に手が伸び抑えが効かない。
アイツとの初めての行為がおもいだされて‥
‥手が止まらなかった。
‥口から吐息が洩れ、ここにいるはずのな
いアイツを求めた。
‥片手で口を押さえ声を殺して、
目からは切ない涙が溢れた。
‥果てる瞬間
‥名前を呼んだ
‥たぁ‥か‥‥ふみっ‥ンッ‥
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