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支度をして玄関の扉を開ける。
「‥お前は小学生か、一人で行きィや…」
「マァ、ええですやン‥どうせ一緒ンとこへ行くンやから。」
「‥苦手やわぁ‥お前も徳一も、俺のペース乱すやン‥」
鍵を掛けながら、ボソボソと呟く。
「‥俺、自転車やけど‥」
「時間はやいし、歩きましょう。」
ニッコリと笑い駐車場をスルーする。
「僕ね、先生に訊きたい事あんねん‥」
急に深刻な顔になり下を向く。
「お金と恋愛相談は無理やで‥」
「何で昨日今日知り合った先生にお金やねん‥僕、先生の事が知りたいし、意見が訊きたいねン。」
横目で表情を窺う。冗談を言っているわけではないようだ。
「あんな、オトンに雰囲気似てンねん。話し方とか‥」
「‥オトンが居ったら訊きたい事か?‥もしかして徳一と何か、」
「いや、ちゃうよ。徳一とは上手い事いってる。怖いくらいに‥」
「じゃぁなんや‥誰にもゆわんよ。」
一人で抱え込まンよう優しく語りかける。
「‥オトンって、自分の息子が男と出来てたら寛大で居れるもンやろか?」
「‥それは俺がお前のオトンやったらか?それとも、徳一のオトンの事か?」
「‥多分‥両方かな。マァ、昨日色々あって考えてたンやけど、わからんねン。」
「そやなァ‥俺も息子が居らンから答えられへン。けど、親は子の幸せを一番先に考えるわな。」
「‥それって、自分の幸せより?」
「俺やったらそうかな。ヤッパ、守ってやりたいやン‥」
何故だか複雑な顔をして、またうつ向いた。
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