季節外れの‥‥5

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消えた筈の左手首の痕をみる。 ソッと触れて‥ 俺、でぇへンってゆうたもンな‥ けど、かけへンってゆうてないよな‥ 屁理屈が頭をもたげる。 何回も連絡くれて、ありがと‥とか? むっちゃ、他人行儀やン‥って、他人か‥‥ 奥さんいてはるやンな‥ 携帯から視線を窓の外のグランドに向けクラブハウスをみる。 久しぶりにあった友達としてやったら?‥‥ かけへン方が、まだお前への想い引き摺ってるみたいやン‥ ‥‥確かに引き摺ってるけどね‥ ハァ‥踏ん切りがつかンや。 こんなん初めてやな‥俺からって行動に移すのは、 今までなかったからな。 何にもゆわんでも‥何にもせんでも‥全部アイツが察してくれてた。 ‥それは昔の話や。 今の自分はどうしたいンや。 自分自身に問いかけた。 「‥電話したい。」 ポツリとこぼれた。 ‥何もかも棄てて、   死ぬほど逢いたいのに‥アイツに 生徒に相談されてたら、これが普通の男女関係やったら、きっと俺は 気持ちを伝えなってゆったずや。 けど‥俺の場合は全てが違う。 ‥ヤッパ、迷惑をかけるやろな  待つしかないか‥ そう決心して携帯を閉じた。
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