季節外れの‥‥5

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放課後になるとまた、義行はやってくる。 今までは図書室やクラブに出ていたのだが、徳一を待つのに丁度良いらしくずっと入り浸っている。 徳一は気が気でないらしく俺に八つ当たりをするが、他の奴よりマシらしい。 教科書を開きながら、 「先生、ずっと携帯気になってンなぁ。誰からか連絡待ってンの?」 「‥マァ‥そんなとこかな‥」 言い当てられて反論の余地がない。 「待ってンとかけたらええやン‥」 「ほっとけや‥」 携帯をポケットにしまいこむ。 「先生の事やから難しに考えてンやろ?」 「かけへンって決めたンや。」 「フーン、変わってンな。」 宿題を始めだした。 俺はコーヒーを淹れてボンヤリ窓の外を眺める。 ふと義行が 「先生の好きな人の事教えてや」 「‥いやや」 「何でなン?僕も話してるやン。」 自分でコーヒーを淹れて俺の隣にくる。 「優しい人?」 「‥マァ‥そんなとこかな」 アイツの顔が浮かぶ。 「 長い事逢ってなかったから‥ 」 「じゃぁ最近は?逢えたン?」 「この間偶然にな‥」 掴まれた手首を見る。 ジンジンと傷みが振り返す。 ハァ‥と口から吐息が洩れ、胸が痛む。 「先生って、その人の事考えてる時 色っぽいけど、哀しそやな‥」 「‥なんやそれ、大人になると色々あんねん。」 視線をコーヒーに落として、今度はため息をつく。 「 ナァ‥先生、好きになるって案外難しナァ‥」 「‥せやな、真剣な程相手の事考えてしまうしな‥」 「うん、そやな‥」
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