季節外れの‥‥5

17/21
前へ
/343ページ
次へ
授業が全て終わり部活動が始まる。 いつもなら義行が入ってくる頃だが、今日に限って遅い。 机に突っ伏して意識が飛んでいる。 頭の中は、‥ホンマやンな、夢やないよな。 遠慮がちに義行が入ってくるのも気付かず、 「‥う"ぅ"ー、どないしよ‥」 「先生?」 後ろから声をかけられ必要以上に飛び上がる。 「な"っ‥何でもない!」 ガタンッ!ガシャガシャン! 慌てて立ち上がった為に椅子が大きな音をたてて倒れる。 「クスッ‥どうしたん?らしくないやン。」 「何もないから‥」 倒した椅子を元に戻し座り直す。 「フーン、マァ‥ええけど、コーヒー貰うよ。」 「‥おん、」 「スィッチ入ったまんまで煮詰まってるやン。淹れなおすよ。」 「‥おん、」 セットしながら、お昼の事をもう一度謝る。 「‥先生?もしかしたら、あの電話は、」 「‥そうや、どないしよ‥俺、」 机に顔を伏せたまま呟く。 隣に椅子をおき義行が覗く。 「何てゆうてたン?」 「‥ゆわへン‥やから、訊かンとって‥」 駄々っ子のように背中を丸めたままで携帯を握りしめている。
/343ページ

最初のコメントを投稿しよう!

44人が本棚に入れています
本棚に追加