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部屋にコーヒーのいい薫りが漂う。
マグカップを2つ持って座り直し、机に置く。
「コーヒーはいったよ。」
「‥ありがと、」
やっと顔をあげて、両手で温かさを確かめるように持ってため息をつく。
「クスッ、ため息ついたら幸せ逃げてしまうで。」
チラッと義行を見て、
「逃げる程、幸せなんかあらへん‥」
そう言ってコーヒーを飲む。
「アハハー、その感じやったらええ電話やったンやろ?昼にかかってくるなんて、僕の知ってる限りじゃぁ‥初めてやン‥」
図星を突かれて義行を睨む。
中々口を開かない俺に淡々と話を続ける。
「話してや、僕にはゆうてや‥先生と生徒やなく、おんなじ悩みの抱えてる者として。」
ジィーっと顔を見ると、ニッコリ微笑み、なっ訊かせてや‥と俺にゆう。
‥情けないなぁー、こんなに心配かけて。
「俺、先生失格やな‥」
「何で?先生かてただの人間やン‥悩む時もあるって、」
「‥」
言い返す言葉が見つからない。
「先生の様子が変やぁって皆ゆうてんで。案外先生って人気あんねんで、」
思い出したのかクスクス笑い出す。
「今日は暇やったやろ?」
「おん。 」
「誰か知らんけどな、《先生悩んでるみたいやから今日はそっとしとく事》って言い出したから」
「嘘やろ?確かに昼休みに誰も来ィひんかったけど‥」
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